第97回日本産業衛生学会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム 13 NIOSHモデルから考える腰痛予防対策

2024年5月24日(金) 09:00 〜 11:00 第5会場 (広島国際会議場 B2F コスモス1)

座長: 榎原 毅(産業医科大学 産業生態科学研究所 人間工学研究室), 赤津 順一(一般財団法人日本予防医学協会)

 第14次労働災害防止計画では、腰痛予防が重点課題のひとつとして挙げられています。近年の休業4日以上の労働災害において腰痛災害は増加傾向で、特に陸上貨物運送業、保健衛生業、小売業での増加が著しく、喫緊の課題とされています。腰痛対策は、従来より労働衛生の3管理に基づき実施されてきましたが、労働年齢人口の高齢化も鑑みると従来の取り組みに加えて新たな視点による対策が今求められています。| 本企画では、まずは厚生労働省労働安全衛生課の担当官より第14次労働災害防止計画の全体像について講演いただきます。8つの重点対策の中で、労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策、業種別の労働災害防止対策の推進は重要な柱であり、高年齢労働者や女性労働者といった年代別・男女別・業種別のきめ細かな対応の必要性について、概説いただく予定です。| 次に、NIOSHのストレスモデルを参考に作成された腰痛予防対策モデルについて、本領域のトップリーダーの一人である松平浩先生(テーラーメイドバックペインクリニック)よりご講演頂きます。特に個人要因、職場の要因、心理的要因に加え仕事以外の要因、さらには緩衝要因を踏まえた包括的なアプローチの重要性や転倒予防を含むシニア労働者対策にも連動した枠組みについても取り上げ、産業保健現場において具体的な対策に繋がるような話題を提供いただく予定です。| 第三演題では、北原照代先生(滋賀医科大学)より、作業関連性運動器障害研究会が現在検討を進めている、腰痛の実態把握に用いる標準的な質問紙の作成・検討状況に関する報告、および国際的に広く用いられているISO 11228-1規格による重量物取扱いに関するリスク評価法のJIS化(日本産業規格化)の動向など、最新の話題を提供いただきます。| 最後に、舟橋敦先生(マツダ株式会社)からは、腰痛対策の過去・現在・未来と題して、時代の要請に応じて企業内での腰痛対策がどのように変遷し成果を上げてきたのか、女性対応や高齢対応、さらにエイジマネジメントを踏まえた環境対策の意義を含めて概説頂き、さらに、未来の腰痛対策として視野にいれている方向性についてご紹介いただく予定です。| 本シンポジウムの場が、新たな腰痛対策・作業管理に関する情報共有の場となり、産業保健スタッフの皆様の実務に役立つ機会となることを期待しております。産業保健に従事される実務者、研究者はもちろんのこと、次世代の産業保健を担う若手人材の皆様も是非ご参加ください。|

松平 浩1,2、川又 華代3、吉本 隆彦4、梶木 繁之5 (1.テーラーメイドバックペインクリニック(TMBC)、2.福島県立医科大学医学部疼痛医学講座、3.中央労働災害防止協会健康快適推進部、4.昭和大学医学部衛生学公衆衛生学講座、5.株式会社産業保健コンサルティングアルク)