有田 健一1 (1.庄原赤十字病院(前広島赤十字・原爆病院))
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム 5 広島県における粉じん吸入に関する労働衛生史と許容濃度の変遷
2024年5月23日(木) 09:00 〜 11:00 第9会場 (中国新聞社 7F ホール)
座長: 岸本 卓巳(独立行政法人労働者健康安全機構 アスベスト疾患研究・研修センター)
日本各地にはその地域に特色のある産業があり、明治以前からそれぞれの産業労働者には様々な健康被害が報じられてきた。中国地方においても特徴的な粉じん吸入による健康障害が認められてきた。|今回の学会が開催される広島県における粉じんによる疾病を労働衛生史から振返って今後これら疾病の予防あるいは早期診断に役立てるためにこのシンポジウムを計画した。また、粉じんによる疾病を予防するための粉じん吸入許容濃度についてもどのような対応がなされたかについても歴史的な推移について専門家から言及していただいた。|まずは、広島県庄原市のろう石じん肺がどのような労働環境下で発生し、どのように症例が増えたか、またその診断及び治療がどこでどのように行われてその後の予後がどうであったかについて、当初期からこのじん肺の病状がどのようであったかを熟知され、診断・治療に尽力された有田先生からお話いただく。次に、広島県呉市で多発しているアスベスト関連疾患について、呉市の歴史的背景及びその産業の概要の説明とこの地区における中皮腫・肺がんについて1980年代からその診断及び治療にあたった岸本が自ら述べる。また、現在に至るまでのアスベスト関連疾患の労災認定状況について、毎年度10例を超える症例があることを厚生労働省の統計を参考として発表する。そして、労働衛生とアスベスト疾患の関連についての歴史についても述べる。最後に森本先生に粉じん吸入に対する予防対策として労働省(厚生労働省)、その後日本産業衛生学会が提案した許容濃度の変遷とその意義について述べていただき、本シンポジウムでは粉じん吸入による疾病に対する労働衛生の歴史について広島県における粉じん吸入と関連疾患について議論できれば幸いである。|新たな疾病を防ぎ、また早期発見する上で過去の労働衛生史が我々に教えてくれる教訓は大きく、参考とすべきである。労働衛生史研究会は過去の労働災害あるいは労働衛生の歴史を学び、将来の労働災害を防ぐための日本産業衛生学会の大きな柱として今後も活躍していくつもりである。|
岸本 卓巳1 (1.アスベスト疾患研究・研修センター)
森本 泰夫1 (1.産業医科大学)