川崎 良1 (1.大阪大学)
セッション情報
スポンサードシンポジウム
スポンサードシンポジウム 2 職域における眼底検査の意義と課題
2024年5月24日(金) 15:50 〜 17:50 第4会場 (広島国際会議場 B2F ダリア2)
座長: 立道 昌幸(東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学), 白根 雅子(公益社団法人 日本眼科医会)
共催:公益社団法人日本眼科医会
これまで、職域では視力検査は一般健康診断の法定項目として実施されてきたが、労基署への報告事項にもなっておらず、労働者の視機能についてはその推移が不明であり重要視されてきたとは言い難い。|視機能については、視力が最も重要であるが視力以外にも、色覚、視野などの機能があり、職務適正としてそれぞれが課題となる。|今回は、視野に焦点をあてて、就業配慮についての課題を検討する。|特に、直近の産業保健の課題に高齢労働者の転倒災害が重要な労災事例となりその原因疾患として緑内障等による視野障害の関与が示唆されている。|緑内障は、50歳以上では4-7%の高い有病率であり、かつ80%は未治療とのことからこの対策を職域でも講じる必要がある。|緑内障については、慢性の経過をたどる開放隅角緑内障においては人種差があり日本人では眼圧が正常値を示す正常眼圧緑内障が90%以上を占めることから、眼圧測定が必ずしもスクリーニング検査として適さない。職域では、古くから眼科的検査として、眼底検査が人間ドック等を中心に実施されてきた。眼底検査は、動脈硬化の指標や眼科疾患である糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、緑内障検診を目的として実施されてきた。特に緑内障については、「乳頭陥凹の拡大」という所見によく遭遇する。|しかし、労働者には緑内障という疾患自体の理解が進んでおらず、白内障と区別されていない点や、特に自覚症状に乏しい点から、受診勧奨しても受療行動に結びついていない場合が多い。一方で、眼科受診しても「経過観察」として返信されることもしばしば遭遇し、どこまで受診勧奨すべきか迷うことが多く現場の感覚では、眼底検査について不明確な印象をもたれている。|そこで、今回のシンポジウムでは、日本眼科医会の協力を得て、このテーマにおいて第一線で活躍されている先生方に集まって頂き、主に緑内障検診としての眼底検査の意義と課題について公衆衛生学的及び眼科的な見地から検証し、今後の労働者の視機能の維持にどのような役割をもつか?|特に診断にもAIが導入されていると思われるので最新の知見も踏まえ議論したいと考えます。|
中野 匡1 (1.東京慈恵会医科大学 眼科学講座)
三宅 正裕1 (1.一般社団法人Japan Ocular Imaging Registry)
平塚 義宗1 (1.順天堂大学医学部眼科)
山田 昌和1 (1.杏林大学眼科学教室)