The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

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Mini Lecture

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ミニレクチャー

[ML-05] Natural course of the oral cancer patients who were not in the indication for treatment.

〇Shintaro Kawano1 (1.Section of Oral and Maxillofacial Oncology, Division of Maxillofacial Diagnostic and Surgical Sciences, Faculty of Dental Science, Kyushu University)

【略歴】
1999年 3月 鹿児島大学歯学部 卒業
2003年 3月 九州大学大学院 歯学臨床系専攻 博士課程 卒業
2003年 4月 九州大学病院 顎口腔外科 医員
2007年 2月 九州大学病院 顎口腔外科 助手
2007年 4月 九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野 助教
2013年 8月 九州大学病院 顎口腔外科 講師
2020年10月 九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野 准教授

資格

歯学博士(九州大学)
日本口腔外科学会 専門医、指導医
日本口腔科学会 認定医、指導医
日本口腔内科学会 専門医、指導医
日本小児口腔外科学会 指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医(歯科口腔外科)
⽇本がん治療認定医機構 がん治療認定医指導責任者(歯科口腔外科)
国際⼝腔顎顔⾯外科専⾨医 (FIBCSOMS)
A member of Editorial Academy of Oncology Letters
口腔癌の治療は日々進歩しており、これまで治療困難であった局所進展切除不能症例や遠隔転移症例でも分子標的薬との併用により根治が望めるようになってきた。一方、我が国は超高齢社会に突入しており、85歳以上の超高齢口腔癌患者の治療に携わることも少なくない。高齢であっても治療を行うことで便益が得られ、有害事象が生じる可能性が低い場合は比較的決定が容易である。しかし、治療によって便益と相容れない有害事象が生じる可能性がある場合は判断に苦慮し、症例によっては治療を行うことを断念せざるを得ないこともある。また、高齢でなくとも重篤な全身疾患のため治療を行えない症例や、強固な意志や信念により治療自体を拒否する患者に遭遇することもあり、このような症例では緩和医療や終末期医療を行うことになる。終末期においても摂食機能から導かれる口腔感覚や食べる喜びを可能な限り維持することが望ましいが、のちに腫瘍進展のため経口摂取が困難になることが予想されるため、患者や家族に「いつから食事ができなくなるのか」について説明しておかなければならない。また、その際に「どのような障害がいつ頃から出るのか」や「どのくらい予後があるのか」についても説明を求められる局面が想定される。しかしながら、治療を行わなかった場合の口腔癌の経過、いわゆるナチュラルコースに関する情報は極めて少なく、これらの疑問に対する明確な答えはガイドラインにも記載されていない。
 本レクチャーでは、口腔癌のナチュラルコースに関する文献等を収集、整理し、口腔癌を治療しなかった場合の予後や想定される有害事象およびその発症時期等について概説するとともに、演者自身が診療に携わった症例について供覧する予定である。