第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-18] 下顎に発生した高悪性度B細胞リンパ腫の1例

〇道 泰之1、加地  博一2、栢森 高3、坂本 潤一郎4、原田 浩之1 (1.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎口腔外科学分野、2.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面外科学分野、3.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔病理学分野 、4.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔放射線医学分野)


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【緒言】悪性リンパ腫は頭頸部領域における全悪性腫瘍の2.5%を占める。全リンパ腫の37%はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)で、特にcMYC、およびBCL2および/またはBCL6遺伝子に転座を認める場合は化学療法後の生存率が低いとされ、2017年のWHO分類改訂で新たに高悪性度B細胞リンパ腫(Hgh-grade B-cell lymphoma: HGBL)と分類された。今回、われわれは、口腔内に発生したMYCおよびBCL6の転座を伴うHGBLを経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例】29歳男性。左顎下部に疼痛を自覚して近医歯科受診。パノラマX線画像で左側下顎智歯根尖部に透過像を認め、慢性根尖性歯周炎の診断で根管治療を開始するも症状改善なく、同歯を抜歯。抜歯2週間後に左側顎下部および抜歯部位歯肉に腫脹を認めた。抜歯窩再掻爬をするも改善ないため、2017年11月に紹介初診となった。初診時、知覚鈍麻を伴う左側顎下部のびまん性腫脹、複数の頸部リンパ節腫脹、および左下8相当部に肉芽様の腫瘤を認めた。血液検査ではLDH 250U/L、sIL-2 r 1070U/mlと高値、CT, MRIで左側下顎骨の破壊を伴う腫瘤を認めた。口腔内より生検し、HGBL with MYC and BCL6 rearrangementの診断を得た。血液内科でR-IVAC/CODOX-M療法2コース後、寛解を認めた。【考察】B細胞リンパ腫の6割が節外性であると報告されており、口腔内の病変を契機に診断を得る可能性も高い。口腔内所見、B症状の有無、血液検査等から鑑別し、的確な検査を行い速やかに血液内科へ紹介する診断能力が求められる。