第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-02] ニボルマブを使用した口腔癌症例の臨床的検討

〇猪俣 徹1,4、田中 惇平1、里見 貴史2、辺見 卓男3、柳下 寿郎3、黒崎 弘正4 (1.日本歯科大学附属病院口腔外科、2.日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座、3.日本歯科大学放射線・病理診断科、4.JCHO東京新宿メディカルセンター放射線治療科)


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[緒言]ニボルマブは, プラチナ製剤不適応な再発・転移頭頸部扁平上皮癌に対し, 本邦で2017年3月に適応承認された。Checkmate141試験では, 免疫関連有害事象(irAE)といった特有の有害事象をもたらすことがあるが, 従来の化学療法と比較し, 患者の生命予後を改善し, 重篤な有害事象の発生頻度が低く, QOL低下を抑制することから有効性が示されている。今回, 当科でニボルマブを使用した口腔癌症例の臨床的検討を行ったので報告する。
[症例・結果]2017年3月から2020年3月までにニボルマブを投与した再発・転移口腔癌症例5例(男性4例, 女性1例)を対象とした。年齢は53~81歳(中央値69歳)で, 発生部位は上顎歯肉3例, 舌1例, 頬粘膜1例であった。Doseは3mg/kgとし, 2週間毎投与を1コースとした。結果は, PDとなった症例が3例で, 2例は担癌死, 1例は緩和ケアへ移行, 2例はPRであり現在も投与継続中である。また有害事象はGrade1の口内炎が1例に認めたのみで, irAEは認めなかった。
[考察] ニボルマブは重篤なirAEを生じる可能性もあるが, 従来の化学療法と比較して有害事象は軽く, QOLを維持した上で長期生存を期待できる有効な治療法と考えられた。現在, イピリムマブやペンブロリズマブも頭頸部悪性腫瘍に適応承認されているためI-O drugの併用や分子標的薬との交代療法など, 今後, 様々な治療戦略の確立が重要であると考えられた。