第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-07] 原発性マクログロブリン血症の経過観察中に発症した悪性リンパ腫の1例

〇中野 僚子1、柴田 哲伸2、草深 佑児1、近藤 英司3、栗田 浩3 (1.南長野医療センター篠ノ井総合病院歯科口腔外科、2.北信総合病院特殊歯科口腔外科、3.信州大学医学部歯科口腔外科教室)


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【緒言】原発性マクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia: WM)はリンパ系腫瘍の約2%を占める比較的まれな疾患である.WMに中高度悪性群のリンパ腫を併発することはまれであり,本邦において頭頚部領域での報告例はない.今回われわれはWMの経過観察中に頚部の腫脹にて発見された,悪性リンパ腫の一例を経験したのでその概要を報告する.【症例】91歳,女性. WMを2013年に発症し, 2014年よりMP療法を15クール施行,病状安定にて経過観察されていた.【経過】2019年8月に左側頚部の腫脹・発赤、嚥下困難のため当科を紹介受診した.口腔内に異常所見はなく,左顎下部から鎖骨上にかけて硬結を伴う充実性の腫脹を認めた.造影CTにて左顎下部から縦隔にかけての腫瘍性病変を認め,血液内科主治医と検討し,左頚部からの生検を行い,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断となった.高齢のため積極的な治療は行わず,経過観察の方針となるも2019年10月,腫瘍が急激に増大し入院,症状緩和目的にステロイドの投与を行った.腫瘍の劇的な縮小を認め,経口摂取が可能となり一時退院となったが,2020年2月に上咽頭から中咽頭にかけて腫瘍が増大,2020年5月に死亡した.【結語】WMに中高度悪性群のリンパ腫を併発したまれな1例を報告した.