第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-11] 当科における再発・転移口腔扁平上皮癌に対するPembrolizumabの使用経験

〇大森 景介1、大鶴 光信1、柳本 惣市1、古川 浩平1、福嶋 大将1、鳴瀬 智史2、梅田 正博1 (1.長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野、2.市立大村市民病院 歯科口腔外科)


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【緒言】2019年12月に免疫チェックポイント阻害薬Pembrolizumabが「再発または遠隔転移を有する頭頸部癌」に対する追加承認を取得し,治療における選択肢は拡大した.今回,当科でPembrolizumabを投与した再発転移口腔がん症例に関して報告する.

【症例の概要】2019年12月から2020年10月までの間に,当科でPembrolizumabを投与された4例(男性1例,女性3例,平均年齢68.8歳(57-79歳))を報告する.原発部位は舌2例,下顎歯肉1例,上顎洞1例であった.T分類はT2:1例,T3:2例,T4a:1例で,臨床病期はStageⅡ:1例,StageⅢ:1例,StageⅣb:2例であった.病理組織学的分類は全て扁平上皮癌であった.初回治療はすべて手術療法で,うち2例で術後CCRTが施行されていた.Pembrolizumab単剤投与は2例,初回は化学療法併用であったが以降は単剤投与になった症例が1例,化学療法併用が1例である.

【結果】効果判定はPR:1例,PD:3例で,奏功率25%であった.無増悪生存期間(PFS)の中央値は87日であった.主な有害事象は下痢,(Grade3), 発熱(Grade2), TSH増加(Grade1), 食欲不振(Grade3),甲状腺機能低下症(Grade1),AST増加(Grade2),悪心(Grade3), 斑状丘疹状皮疹(Grade3), 貧血(Grade1)であった.

【結語】当科におけるPembrolizumabの使用経験を報告した.本剤は著効例においては顕著に奏功し,患者の生命予後の向上に大きく寄与できる一方で,2ヶ月程度の短期間でPDと判定される場合もあることから,その適応に際しては十分に検討する必要がある.また,最低3週間の投与間隔が必要となるため,病勢を考慮しつつ,必要に応じた抗腫瘍薬の検討を行う必要がある.