第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-14] Cetuximab併用療法が著効した進行舌癌の1例

〇日浅 香保1、宮下 英高1、相馬 智也1、宗像 花楠子1、山田 有佳1、木村 萌美1、中川 種昭1、莇生田 整治1 (1.慶應義塾大学 医学部 歯科・口腔外科学教室)


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【緒言】今回, 切除不能進行舌癌に対してCetuximab(Cmab)併用療法を行い,著明な腫
瘍縮小後に救済手術と術後化学放射線療法にて腫瘍を制御し得た1例を経験したので報告
する.【症例】患者は71歳男性,右側舌癌の疑いで紹介受診となった.初診時,右側舌を
中心に正中を超える硬結を有する内向性腫瘤を認めた.CT,MRI,PET-CTでは,右側舌から
咀嚼筋隙へ浸潤する60mm大の腫瘍性病変がみられ,両側頸部リンパ節と右肺に転移を疑う
小結節を認めた.右側舌癌(T4bN2cM1)の臨床診断で生検を実施し,扁平上皮癌の結果を得
たため, CDDP+5-FU+Cmabによる化学療法を開始した.治療中にGrade2の急性腎不全が生じ
たため同レジメンの継続は不可能と判断し,PTX + Cmab に変更したところ原発・転移巣
の著明な縮小を認めた(治療効果:PR).その後も化学療法を継続したが,初回投与から
1年半後の画像評価で病変の再増大を認めたため,患者,家族と相談の上,全身麻酔下に
腫瘍切除術を実施し,術後に60GyのCmab併用化学放射線療法を行った.現在術後約3年6か
月経過するが,再発転移所見なく経過している.【考察】分子標的薬,免疫チェックポイ
ント阻害薬の登場により,従来根治が困難と思われた切除不能進行症例や再発・転移症例
であっても,著しい腫瘍縮小効果により根治を目指せる確率が高まった.そのためには,
薬剤選択の順序や救済手術,化学放射線治療実施の時期など,治療効果を上げつつもPSを
維持していく治療戦略が重要であると考えられた.