第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-27] 超選択的動注化学療法治療中にコレステロール塞栓症を発症した口底癌の1例

〇佐々木 敬則1、都倉 尭明1、岡本 準也1、中井 裕実1、大西 みちよ1、土橋 恵1、笹谷 聖1、加藤 大貴1、荻 和弘1、出張 裕也1、宮﨑 晃亘1 (1.札幌医科大学医学部口腔外科学講座)


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コレステロール塞栓症は、大血管壁にある粥腫が破綻し、コレステロール結晶が血中に流出することで、抹消に塞栓をきたす疾患であり、カテーテル検査や心臓血管手術などが原因で発症する。今回、我々は超選択的動注化学療法治療中にコレステロール塞栓症を発症した口底癌の1例を経験したので、その概要を報告する。症例は81歳男性、右口底癌(T2N1M0, StageⅢ)。機能温存治療を強く希望したため、放射線治療(66Gy)併用で計4回のセルジンガー法による超選択的動注化学療法(CDDP)を施行した。臨床的にCR評価となったが、右足趾に疼痛、紫紅色斑の出現と急激な腎機能低下(血清Cr値:1.92mg/dL, eGFR値:26.9mL/min)を認め、当院皮膚科で施行した生検でコレステロール塞栓症の病理組織学的診断を得た。ステロイド経口投与により右足趾の症状は改善傾向を認めたが、腎機能は改善しなかった。ステロイド治療終了後、外来で経過観察を行っていたが、3か月後に頸部再発を認め、現在ニボルマブによる治療を行っている。セルジンガー法では1%程度で脳梗塞が発症すると報告されている。一方、コレステロール塞栓症の発症は非常にまれではあるものの、血液透析に移行する可能性の高い予後不良な疾患である。治療選択の際には十分に念頭に置くべき疾患の1つと考えられた。