第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-31] 口腔癌に対する放射線治療補助具としてのスペーサーの応用

〇吉澤 邦夫1、木村 裕二郎1、長田 麻美1、諸井 明徳1、上木 耕一郎1 (1.山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系 歯科口腔外科学講座)


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緒言

口腔癌の第一選択は外科切除術であるが、癌患者の高齢化が進むなかで耐術能の問題点や術後の口腔機能低下、社会的背景の観点から手術療法が適さない症例も見受けられ、放射線治療の意義は益々大きくなっている。また、術後の原発部再発リスクが高い症例において放射線照射を追加している。そのような症例に対して、われわれは、放射線治療効果を高めるため、スペーサ作製を応用して治療を行っている。今回、その概要とこれまでの結果について検討したので報告する。

対象と方法

2018年から2020年までに当科受診し、本治療法が適応と判断した10症例について検討した。年齢は、47~93歳(平均66.7歳)、男性8例、女性2例であり、全例ともに扁平上皮癌であった。スペーサー作製においては、次の2点に留意して作製した。①小線源治療に対しては、小線源刺入部から正常組織へ距離的隔離を取る上、スペーサー内に鉛板を入れて、とくに顎骨への被ばく線量を遮蔽すること、②外部照射に対しては腫瘍に接する部位にボーラス材が密着するように利用し、腫瘍の表面線量効果の増大を図ることを目的とした。

結果
全例においてGrade3を示す口内炎の範囲は腫瘍周囲に限局し、治療中に有害事象はなく、放射線治療の中断、休止なくコンプライアンスは良好であった。現在、術後経過観察中であり、発表では各原発巣への画像評価も踏まえ検討し、報告する予定である。