第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-32] 口腔扁平上皮癌細胞を用いた定位放射線治療の効果とG2アレストの関連性の検討

〇野島 瞳1、戒田 篤志1、三浦 雅彦1 (1.東京医科歯科大学(TMDU) 大学院医歯学総合研究科 口腔放射線腫瘍学分野)


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【目的】
 定位放射線治療は1回高線量を少数回照射する方法で、臨床において良好な治療成績が得られているものの、未だ有効性に対する明確な生物学的根拠は示されていない。G2期の細胞は放射線感受性であることが知られており、今回、口腔がん細胞を用いて、定位放射線治療の効果とG2アレストの関連性について検討を行った。
【材料・方法】
 細胞周期可視化システム(Fucci)を導入したヒト舌扁平上皮癌由来SAS細胞を使用し、in vitroでは、コロニー形成法、FACS、タイムラプス観察、in vivoでは、ヌードマウス皮下移植腫瘍を用いて、X線照射後の細胞動態を検討した。
【結果・考察】
 in vitroにおいて、X線照射後、高線量の方がG2アレストが強く生じた。Σ20 Gy/2 fr., Σ10 Gy/2 fr. を異なる分割間隔で照射したところ、いずれの線量でも、2回目の照射をG2アレストのピークで行った方が、G2アレスト前・後に行った細胞よりも生存率が低く、定位照射の有効性がG2アレストと関与している可能性が示唆された。
 in vivoにおけるX線照射後のG2アレストは、10 Gyで少なくとも2日間、20 Gyで4日間持続し、in vitroと比較し線量依存的に著明に延長した。現在、Σ20 Gy/2 fr.の照射を行い、2回目の照射がG2アレスト前・中・後の場合で抗腫瘍効果が異なるか検討中である。