第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

講演情報

一般演題(eポスター)

PDFポスター » 5.悪性腫瘍・病理

5.悪性腫瘍・病理

[P05-12] 筋上皮腫摘出後に悪性転換したと思われた口蓋筋上皮癌の病理組織学的検討

〇八木沢 就真1,2、和久井 崇大1、斎藤 正浩1,3、小宮山 雄介1,4、澤谷 祐大1、志村 美智子1、大島 遼1、川又 均1 (1.獨協医科大学 医学部 口腔外科学講座、2.菅間記念病院 歯科口腔外科、3.上都賀総合病院 歯科口腔外科、4.佐野厚生総合病院 歯科口腔外科)


ポスターを表示

患者は78歳の女性で,軟口蓋部の腫瘤形成を主訴に来院した.患者は近位の病院歯科口腔外科にて2014年12月に口蓋腫瘍摘出術を受け,筋上皮腫と診断された.その後通院が途絶えていたが2017年12月に軟口蓋部の腫瘤を自覚し同病院を受診.生検の結果,筋上皮系の低悪性度腫瘍であり加療を目的に当科紹介受診となった.初診時,軟口蓋に弾性硬,境界明瞭な腫瘤を認めた.CT・ MR・PET-CT所見および前医療機関での生検組織にて,臨床診断は口蓋筋上皮癌(T4aN0M0)とし,下顎骨スイングによる口蓋腫瘍切除術,右側舌骨上頸部郭清術を施行した.切除標本は病理組織学的に生検組織と同様であり断端陰性で,AE1/3陽性,p63陽性,S-100蛋白陽性,Ki-67標識率(約30%)であり,筋上皮癌であった.

本症例は,4年後に同部位に腫瘤が発生していることを考えると,初回摘出した腫瘍の腫瘍細胞が残存し,再発増殖する過程で悪性転換したものと考えられた.再発腫瘍は被膜を有していないが,大部分は圧排性の増殖で,一部筋層への浸潤が認められた。Ki-67標識率は全体で30-40%,浸潤部位では60%程度であり,強い増殖能を示しており悪性腫瘍を強く示唆する所見であった.
 今回われわれは, 口蓋に発生した筋上皮癌に対して,初回摘出標本と再発時切除標本を比較検討することにより,再発の機序についての考察を行ったので報告する.