第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-18] 舌腺に発生した明細胞癌の1例

〇高橋 悠1、佐久間 要1、戸谷 収二2、岡田 康男3、田中 彰1 (1.日本歯科大学 新潟生命歯学部 口腔外科学講座、2.日本歯科大学新潟病院 口腔外科、3.日本歯科大学新潟生命歯学部 病理学講座)


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【目的】口腔内に発生する唾液腺由来の悪性腫瘍のなかでも、明細胞癌は稀で転移が少なく予後良好な唾液腺悪性腫瘍である。今回、舌腺に発生した明細胞癌の1例を経験したので報告する。
【症例】54歳の男性。主訴:右側舌根部の腫瘤。既往歴:糖尿病、高脂血症、気管支喘息。現病歴:201X年3月頃より右側舌根部の腫瘤を自覚したため、当科初診来院となった。現症:右側舌根部に18×15 mmで表面一部潰瘍を伴う外向性の有形成腫瘤を認めた。自発痛や接触痛は認めなかった。両側頸部に腫大リンパ節は触知しなかった。画像所見:CTでは右側舌根部に境界明瞭な造影性の高い領域を認めた。MRIで病変はT1強調像で高信号、T2強調像で低信号を呈していた。PET-CTでは右側舌根部にFDG集積を示したが、頸部や全身に異常集積像は認めなかった。臨床診断:右側舌悪性腫瘍の疑い。
【処置および経過】生検術を行ったが、確定診断困難な悪性腫瘍であった。全身麻酔下に右側舌部分切除術を施行。切除組織の病理組織学的所見では、腫瘍は多角形で核は偏在し、淡明な細胞からなる部分や好酸性細胞が混在する部分がみられた。胞巣周囲の間質には著しい硝子化が認められた。免疫染色では、CK7(+)、CK20(-)、AE1/AE3(+)、p63(-)、α-SMA(-)、S-100(-)、Vimentin(-)、特殊染色では、PAS(-)、消化PAS(染色性消失)であった。また、EWSR1-ATF1融合遺伝子が認められたことから、明細胞癌と診断された。術後の経過は良好で、現在まで腫瘍の再発や転移は認めていない。
【結論】今回、我々は稀な舌腺由来の明細胞癌の1例を経験したので報告した。