第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-25] 口腔に転移した子宮平滑筋肉腫の1例

〇佐藤 浩子1、内藤 博之1、鈴木 翔太1、小松 香織2、浅野 重之2 (1.いわき市医療センター 歯科口腔外科、2.いわき市医療センター 病理診断センター)


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【緒言】口腔領域の転移性腫瘍は口腔悪性腫瘍の約1%と稀である。原発臓器としては肺が最も多く、他に消化管、腎、乳腺などである。今回われわれは口腔に転移した子宮平滑筋肉腫を経験したので、文献的考察を加え報告する。
【症例】51歳 女性
【既往歴】高血圧症、子宮筋腫、両側変形性膝関節症
【現病歴・経過】約10年前より子宮筋腫を指摘されていたが放置していた。当院受診1か月前より腰痛を自覚、その後増悪のため体動困難となり当院に救急搬送、整形外科に緊急入院となった。画像所見にて腰椎の病的骨折と骨盤腔から右側腹部の巨大な占拠性病変を認めた。当科へは劣悪な口腔衛生状態の改善を目的に紹介となったが、右下顎臼歯部歯肉に肉芽腫性病変を認めたため病理組織検査を行ったところ、平滑筋肉腫と診断された。その後婦人科にて骨盤内腫瘍摘出術を行い、子宮平滑筋肉腫と診断された。他に肺転移、頭頂部皮膚転移が確認された。抗がん化学療法としてDOC+GEM、ADM、weekly TCを行った。さらに下顎歯肉、腰椎の転移病巣に対して各々放射線治療(30Gy/10fr)を行った。各病巣ともに治療に反応せずPDであり当院受診8か月後に永眠された。
【考察】体腔内臓器と比べ口腔領域の転移腫瘍は、比較的容易に病理組織の検体採取を行うことが可能である。病状によっては原発病巣の確定診断を得られないことがあるため、重要な診断根拠となり得る。