第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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8.悪性腫瘍・腫瘍免疫

[P08-05] シスプラチンおよび放射線は口腔扁平上皮癌細胞上のPD-L1発現を誘導する

〇笹谷 聖1、土橋 恵1、岡本 準也1、加藤 大貴1、中井 裕美1、宮﨑 晃亘1 (1.札幌医科大学 医学部 口腔外科学講座)


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【背景】再発または遠隔転移を有する頭頸部癌に対して免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体が2017年より承認されている。抗PD-1抗体は、細胞傷害性T細胞(CTL)機能を抑制するPD-L1/PD-1シグナルを抑制する点に原理がある。抗PD-1抗体の治療効率を改善するために、口腔扁平上皮癌における更なるPD-L1発現機構解明が必要となる。今回、抗癌剤や放射線などのストレスが口腔扁平上皮癌細胞上のPD-L1発現に及ぼす影響について検討した。【方法】口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2をシスプラチン存在下で24時間培養し、PD-L1の発現を定量的RT-PCR、フローサイトメーター、ウエスタンブロットにて検討した。またHSC-2に30Gyの放射線を照射後24時間培養し、同様の検討を行った。【結果】シスプラチン処理によりHSC-2上のPD-L1発現が有意に亢進することを確認した。また、放射線照射においてもPD-L1発現を誘導することを見出した。【結論】シスプラチンや放射線療法などによるストレスが、口腔扁平上皮癌細胞におけるPD-L1発現を誘導し、免疫逃避に関わる可能性が明らかになった。その誘導機構について更なる検討が必要であるが、本研究結果から、化学療法または放射線療法と免疫療法の複合療法が有効である可能性が示唆された。