第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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9.悪性腫瘍・ゲノム

[P09-07] 口腔扁平上皮癌細胞の運動におけるシャペロン依存性オートファジーの役割

〇井神 優太1、原田 浩之1、渡部 徹郎2、横山 三紀2 (1.東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 顎口腔外科学分野、2.東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 硬組織病態生化学分野)


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口腔扁平上皮癌(OSCC)が頸部リンパ節や遠隔臓器に転移すると,予後不良となるため,OSCC細胞の浸潤能や転移能を制御する分子機序の解明は急務である.シャペロン依存性オートファジー (chaperone-mediated autophagy, CMA)はCMAモチーフをもつタンパク質がリソソームにより分解される経路である.これまでにp65などの細胞内シグナルを制御する因子がCMA経路の基質となることが報告され,CMAと癌の病態との関連が示唆されている.しかしOSCC細胞の浸潤・転移におけるCMAの役割については未解明な部分が多い.そこで本研究ではOSCC細胞の運動能制御におけるCMAの役割について解析を行った.CMA誘導において必須の因子であるLysosome-associated membrane protein-2 (LAMP-2)の発現を上昇させたOSCC細胞でScratch assayを行ったところ,運動能は亢進した.CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集によりLAMP-2遺伝子をノックアウトしたOSCC細胞を樹立し,同様の解析を行ったところ,LAMP-2遺伝子欠損細胞では運動能は抑制した.以上の結果から,CMAがOSCC細胞の運動能制御の役割を担うことが明らかとなり,新たな治療標的となることが示唆された.