[P11-05] A case of central odontogenic fibroma in the maxilla of premolar
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【緒言】
歯原性線維腫は外胚葉性間葉組織由来の良性腫瘍で発生部位により中心性と周辺性に分類される。いずれも患部の無痛性膨隆と顎骨の吸収を主症状とする比較的まれな疾患である。今回われわれは上顎臼歯部口蓋側の咬合痛を主訴として発見された中心性歯原性線維腫を経験したのでその概要と文献的考察を加え報告する。
【症例概要】
現病歴:2017年に近歯科医院受診した際にXP所見で右上54の根尖病巣を指摘され根管治療を施行された。2019年より同部位に咬合痛を自覚し同歯科を受診した。XPで根尖病巣が疑われ加療目的で2019年6月某総合病院受診し加療目的で同年7月当科初診となった。
症状および経過:初診時右上54部口蓋側根尖相当部に5*5mmの範囲で陥凹を認めた。CT/MRI所見より54歯根周囲に根尖を含む境界やや不明瞭な20*25mm大の単房性の透過像を認めた。上顎骨内嚢胞の臨床診断のもと生検を施行した。病理組織学的診断は歯原性線維腫であった。本症例の病理学的所見では歯原性線維腫WHO typeの所見に加えてアミロイドの沈着を認めた。腫瘍切除を全身麻酔下で施行した。術後24か月経過するが,再発所見認めず経過良好である。
【まとめ】
歯原性線維腫は中胚葉組織である歯乳頭や歯小囊あるいは歯根膜に由来する比較的まれな良性間葉性腫瘍で、顎骨内に生じる中心性歯原性線維腫と、外骨性に生じる周辺性歯原性線維腫に分類される。歯原性線維腫の臨床像は患部の膨隆、顎骨の吸収が主症状であり、歯根吸収や患部の陥凹を示す症例は少ない。WHO type は細胞成分に富む線維性結合組織のなかに象牙質様, セメント質様, あるいは骨様の硬組織を含むものである。本症例ではWHO typeの所見に加え、アミロイドの沈着を認める亜型であった。中心性歯原性線維腫の治療は摘出・掻爬が一般的であるが再発例を報告しており, 長期間の経過観察が必要と思われる。
【結語】
今回われわれは上顎臼歯部口蓋側の陥凹を主症状として発見された中心性歯原性線維腫の1例を経験したのでその概要と文献的考察を加え報告した。