[I-O-10] 拡張型心筋症小児におけるテザリングによる僧帽弁の変形の臨床的意義
Keywords:拡張型心筋症, 心エコー, 僧帽弁逆流
【背景】拡張型心筋症(DCM)の小児では、機能的僧帽弁逆流(MR)の程度は予後と相関し、重度の機能的MRを認める症例への外科的介入の有用性も報告されている。左室の拡張に伴う僧帽弁尖のテザリングは、機能的MRの発生機序の一つであり、成人では、術前の僧帽弁のcoaptation depth (CD)が11 mm以上の場合、弁形成ではMRが改善せず、弁置換を要するとされている。しかし、小児DCMにおける僧帽弁尖テザリングの臨床的意義は明らかではない。
【目的】小児DCMにおける僧帽弁のCDと臨床像との関連を明らかにする。
【方法】小児DCM患者14例を対象とした。初診時の心尖部四腔断面像の心エコー画像を用いて、僧帽弁のCDを評価した。DCM患者は、機能的MRがmoderate以上のA群(5例)と、機能的MRがmild以下のB群(9例)に分類した。正常小児44例のCD値を正常対照として用いた。体表面積(BSA)を共変量とするANCOVAにより、各群のCDの差異を評価した。
【結果】DCM患者の年齢は中央値1.2歳(0.4~12.3歳)、CDはA群で6.4±1.3 mm、B群で4.1±1.0 mmであった。BSAを共変量とするANCOVAで、A群・B群とも対照群に比べてCDは有意に大きく(p<0.0001)、さらにA群ではB群よりも有意にCDが大きかった(p<0.001)。A群のうち3例で、初診時からそれぞれ12, 15, 113日後に機能的MRに対する弁形成術が行われ、2例ではMRが改善して退院した。1例は、CD 8.1 mmと全症例で最もCDが大きく、弁形成術では機能的MRが改善せず、最終的に僧帽弁置換を要した。
【考察】小児DCM患者では正常小児より有意にCDが増大し、機能的MRの程度とCDにも関連が認められた。BSAで補正したCDの値により、僧帽弁形成の効果を予測できる可能性がある。
【目的】小児DCMにおける僧帽弁のCDと臨床像との関連を明らかにする。
【方法】小児DCM患者14例を対象とした。初診時の心尖部四腔断面像の心エコー画像を用いて、僧帽弁のCDを評価した。DCM患者は、機能的MRがmoderate以上のA群(5例)と、機能的MRがmild以下のB群(9例)に分類した。正常小児44例のCD値を正常対照として用いた。体表面積(BSA)を共変量とするANCOVAにより、各群のCDの差異を評価した。
【結果】DCM患者の年齢は中央値1.2歳(0.4~12.3歳)、CDはA群で6.4±1.3 mm、B群で4.1±1.0 mmであった。BSAを共変量とするANCOVAで、A群・B群とも対照群に比べてCDは有意に大きく(p<0.0001)、さらにA群ではB群よりも有意にCDが大きかった(p<0.001)。A群のうち3例で、初診時からそれぞれ12, 15, 113日後に機能的MRに対する弁形成術が行われ、2例ではMRが改善して退院した。1例は、CD 8.1 mmと全症例で最もCDが大きく、弁形成術では機能的MRが改善せず、最終的に僧帽弁置換を要した。
【考察】小児DCM患者では正常小児より有意にCDが増大し、機能的MRの程度とCDにも関連が認められた。BSAで補正したCDの値により、僧帽弁形成の効果を予測できる可能性がある。