第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

2-01 外科治療

一般口演-4
フォンタン手術

Thu. Jul 16, 2015 3:50 PM - 4:40 PM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
河田 政明 (自治医科大学とちぎ子ども医療センター)
中野 俊秀 (福岡市立こども病院)

I-O-16~I-O-20

[I-O-17] Fontan conversionによる心不全改善効果

小泉 淳一1, 猪飼 秋夫1, 岩瀬 友幸1, 古武 達也1, 那須 友里恵2, 中野 智2, 早田 航2, 高橋 信2, 小山 耕太郎2, 小林 隆史3, 岡林 均1 (1.岩手医科大学 心臓血管外科, 2.岩手医科大学 循環器小児科, 3.岩手医科大学 麻酔学)

Keywords:Fontan conversion, TCPC, 心不全

【背景】APC Fontan術後遠隔期の心房拡大、上室性不整脈、心不全などの問題のため、可及的なTCPCへのconversionが推奨されている。【目的】当院におけるFontan conversionの経験よりその心不全改善効果を調査する。【方法】当院で経験したFontan conversion6例を対象とし、術前後のXp、心電図、BNP、NYHA、心カテ結果を後方視的に調査した。【結果】手術時年齢中央値17歳(12-27)、体重55.5kg(34.3-60.8)。主診断は右室性単心室3例、左室性単心室1例、三尖弁閉鎖1例、純型肺動脈閉鎖1例。初回Fontan手術は年齢2歳(1-9)時で、全例APC Fontanであった。Fontan手術からconversionの期間は15.5年(10-18)であった。Conversionの適応は全例心房拡大で、うち1例は右肺静脈圧迫を合併していた。PACを除く上室性不整脈や心房内血栓、PLEの症例は無かった。conversionは全例に22mm ePTFE tubeによる心外導管型TCPC、ASD作成を施行した。合併手術として1例にAVR、2例に心外膜リード植え込みが施行された。人工心肺時間148分(123-211)、大動脈遮断時間47分(40-86)、手術死亡0例、ICU滞在3日(1-6)、術後入院期間18日(14-23)であった。術後経過観察期間は23か月(10-31)で遠隔死亡0例であった。術後遠隔期に上室性不整脈に対しアンカロン内服を要した症例が2例あった。conversion前と最近の臨床検査所見の比較は以下の通りであった。ただし心房負荷は2誘導P波の振幅x継続時間とした。【NYHA(1/2/3/4)】3例/3例/0/0→6例/0/0/0【調律】SR6例→SR5例,JR1例【心房負荷Vsec】29.3→11.0【XP CTR(%)】49→42【BNP(pg/dl)】97→20【SVC(mmHg)】12→10【心室EF(%)】54→60【心室EDP(mmHg)】10.8→8.3 【Cr(mg/dl)】0.60→0.65【ChE】262→266【結語】APC Fontan症例に対するTCPC Conversionの成績は良好で、心不全改善効果も認められた。肝腎不全の無い比較的リスクの低いAPC Fontan症例においてはTCPCへの convesionが積極的に推奨される。