[I-O-17] Fontan conversionによる心不全改善効果
キーワード:Fontan conversion, TCPC, 心不全
【背景】APC Fontan術後遠隔期の心房拡大、上室性不整脈、心不全などの問題のため、可及的なTCPCへのconversionが推奨されている。【目的】当院におけるFontan conversionの経験よりその心不全改善効果を調査する。【方法】当院で経験したFontan conversion6例を対象とし、術前後のXp、心電図、BNP、NYHA、心カテ結果を後方視的に調査した。【結果】手術時年齢中央値17歳(12-27)、体重55.5kg(34.3-60.8)。主診断は右室性単心室3例、左室性単心室1例、三尖弁閉鎖1例、純型肺動脈閉鎖1例。初回Fontan手術は年齢2歳(1-9)時で、全例APC Fontanであった。Fontan手術からconversionの期間は15.5年(10-18)であった。Conversionの適応は全例心房拡大で、うち1例は右肺静脈圧迫を合併していた。PACを除く上室性不整脈や心房内血栓、PLEの症例は無かった。conversionは全例に22mm ePTFE tubeによる心外導管型TCPC、ASD作成を施行した。合併手術として1例にAVR、2例に心外膜リード植え込みが施行された。人工心肺時間148分(123-211)、大動脈遮断時間47分(40-86)、手術死亡0例、ICU滞在3日(1-6)、術後入院期間18日(14-23)であった。術後経過観察期間は23か月(10-31)で遠隔死亡0例であった。術後遠隔期に上室性不整脈に対しアンカロン内服を要した症例が2例あった。conversion前と最近の臨床検査所見の比較は以下の通りであった。ただし心房負荷は2誘導P波の振幅x継続時間とした。【NYHA(1/2/3/4)】3例/3例/0/0→6例/0/0/0【調律】SR6例→SR5例,JR1例【心房負荷Vsec】29.3→11.0【XP CTR(%)】49→42【BNP(pg/dl)】97→20【SVC(mmHg)】12→10【心室EF(%)】54→60【心室EDP(mmHg)】10.8→8.3 【Cr(mg/dl)】0.60→0.65【ChE】262→266【結語】APC Fontan症例に対するTCPC Conversionの成績は良好で、心不全改善効果も認められた。肝腎不全の無い比較的リスクの低いAPC Fontan症例においてはTCPCへの convesionが積極的に推奨される。