[I-O-27] 成人期心房中隔欠損症に対するカテーテル治療は左房機能を温存する: 外科治療との比較
Keywords:心房中隔欠損症, 左房機能, 成人
【背景】二次孔心房中隔欠損 (ASD) 閉鎖術の主体は外科治療からカテーテル治療へ移行した. しかし心房位に留置される金属製閉鎖栓が左心房 (LA) に与える影響は不明である.【目的】成人期ASDに対するカテーテル治療と外科治療がLA機能に与える影響を検討することである.【方法】ASDに対しカテーテル治療と外科治療を受けた成人例 (各58, 17例) と正常対照群 (20例) を対象とした. 中等度以上の僧帽弁あるいは三尖弁閉鎖不全例及び心房細動既往例は除外した. 経胸壁2次元心エコーよりbiplane area-length 法を用いて僧帽弁開放時相 (Vmax), LA収縮時相 (Va), 僧帽弁閉鎖時相 (Vmin) でLA容積を治療前及び治療後15 ± 11か月で計測した. LAリザーバー, 導管, ブースターポンプ機能はそれぞれ (Vmax-Vmin)/Vmax, (Vmax-Va)/Vmax, (Va-Vmin)/Vaで算出した. 左心室 (LV) 収縮能指標として駆出率, 拡張能指標としてLV流入血流拡張早期 (E) /後期速度比, E波減衰時間, 等容拡張時間, 肺静脈血流収縮期/拡張期速度比を計測した. 組織ドプラ法にて僧帽弁輪外側の拡張早期 (e’) /後期壁運動速度比, E/e’比も計測した. 【結果】カテーテル治療群で使用された閉鎖栓 (AMPLATZERTM Septal Occluders) サイズは12 ± 3 mm/m2であった. ASD治療前の各時相のLA容積は2群間で有意差を認めなかったが, LV駆出率は外科治療群で有意に低値であった. ASD治療後, LV拡張末期容積係数は2群共に有意に上昇した. 外科治療群では閉鎖術後のLAリザーバー機能と導管機能が, カテーテル治療群及び対照群よりも有意に低下していた.【結論】成人期二次孔ASD閉鎖術後の中期的観察より, カテーテル治療は外科治療と異なりLA機能に与える影響が少ないことが示された.