[I-O-28] 成人先天性心疾患外来の現況と紹介患者の心肺運動負荷テストを含めた重症度評価
Keywords:成人先天性疾患, 心不全, 心肺運動負荷テスト
【目的】当院では2010年に成人先天性心疾患(ACHD)外来を開設し、2014年からは県内5病院間でACHD症例検討会(テレビ会議)を行っている。ACHD診療の実績と、外部病院からの新紹介患者の特性と重症度を評価した。【対象と方法】2010~2014年に当院のACHD外来に登録された111例のうち、軽症 ASD、VSDを除いた90例、M:F=44:47、年齢18-63(平均26)歳を対象として、疾患の内訳、Eisenmenger症候群(ES)の有無、NYHAクラス、血漿BNP値、心電図のQRS幅について調査した。60例に対しては心肺運動負荷テスト(CPX)を施行した。次に、当院小児科未受診で外部病院から初めてACHD外来に紹介された33例を対象として同様に検討した。【結果】疾患の内訳はFallot四徴症(TOF)51例(未手術2例)、d-TGA 6例(Jetene 3、Senning 3)、l-TGA 6例、Ebstein奇形 6例(TCPC 1)、純型肺動脈閉鎖 2例、単心室症 2例(TCPC術後)等で、ESは3例。NYHAはI 67、II 16、III 7例、BNP値は<4.0~367 (47.4±68.1)pg/ml、QRS幅は74~206(118±31.8)、CPXによるpeak VO2は13.3~41.9 (26.2±6.9) ml/kg/min。出産例は6例(Marfan症候群、AS、VSD+AR 各1例、TOF術後3例であった。外部病院からの紹介例は33例(30.0±12.6歳)で、TOF根治後 16例、Ebstein奇形 5例(TCPC 1例)、l-TGA 3例、d-TGA 1例、単心室症 1例(TCPC術後)等であった。ES3例はすべて新規紹介症例であった。NYHAクラスはI 18、II 8、III 7例、BNP値は<4.0~367 (56.9±90.4) pg/ml、QRS幅は88~202(125±35.7) msecでいずれも内部の症例よりも高い傾向を示した。peak VO2(26.4±8.6)ml/kg/minは有意差がなかった。テレビ会議を契機に紹介された高齢者の未根治TOF、重症PS等もあり、後者はバルーン拡張術が有効であった。【結語】ACHD外来の患者数は増加傾向を示し、需要の多さを示している。また、新規に紹介されるACHD患者は年齢や重症度が高い傾向があり、ACHD専門診療の必要性が認識され始めている。