[I-O-37] Fontan循環と脳血管のインピーダンス、脳循環制御
Keywords:脳血管インピーダンス, Fontan循環, 脳循環制御
【背景】 高い中心静脈圧(CVP)と低心拍出のFontan循環では循環が淀みやすく各臓器のうっ血と機能障害をもたらしうる。脳循環への影響は、Fontan術後症例における高次機能障害に関与している可能性があり、小児期のFontan循環における脳循環および脳血管の評価は重要である可能性がある。【方法と結果】 当院で開窓Fontan術を施行した学童期の症例を対象に総頸動脈でのE tracking法により得られる血管インピーダンスおよび脳循環との関係について検討した。対象の平均年齢は10.3±2.0歳。Fontan術後8.0±2.1年。 脳血流量の心拍出量(CI)に対する割合はSaO2と負の相関(P=0.04)を示し、CIとも負の相関(P<0.01)を示した。脳の酸素消費量はCVPと負の相関(P<0.01)を示し、脳血流量を調節する機構が働き、酸素需給バランスを保とうとする反面で酸素消費量自体を減少させている可能性が示唆された。 脳血管インピーダンスはレジスタンスがCIと負の相関を示し(P=0.02), コンプライアンスがCVPと正の相関を示した(P=0.04)。Fontan循環に応じて血管特性が変化していると考えられた。【考察】Fontan循環における脳循環では、酸素需給バランスを保つように代償機構が働いていることが示唆された。ただし、脳への酸素供給だけでなく酸素消費を低下させる代償機構も働いており、Fontan症例の神経発達に悪影響を及ぼす可能性がある。