[I-O-38] 巨大な筋性部心室中隔欠損症を自然閉鎖させるためには
Keywords:筋性部心室中隔欠損症, 肺動脈絞扼術, 自然閉鎖
【背景】筋性部心室中隔欠損症(mVSD)は自然閉鎖する症例があると言われている。しかし、巨大なmVSDの症例では、肺動脈絞扼術(PAB)を施行して高肺血流から肺を保護し、児の成長を待って次段階の治療へ繋げる方針を取ることが一般的である。今回我々は、PABを必要とした巨大なmVSDが、時間経過で自然閉鎖傾向となった症例を経験したので報告する。【症例1】3歳男児。mVSD、心房中隔欠損症(ASD)に対して、4か月時にPABを施行した。2歳2か月時にmVSDパッチ閉鎖術を施行したが、術後にVSD遺残短絡のため高肺血流による心不全となり、2歳3か月時に再度PABを施行した。3歳3か月時の心臓カテーテル検査で、mVSD閉鎖傾向にあり手術の必要がないと判断された。【症例2】4歳女児。膜様部心室中隔欠損症(VSDpm)、mVSDに対して、日齢12にPABを施行した。2歳8か月時にVSDpm閉鎖術、肺動脈形成術を施行したが、mVSDは閉鎖できなかった。術後、mVSDによる高肺血流となり、再度PABを施行した。mVSDの閉鎖が困難であり、Fontan candidateが検討されたが、4歳1か月時の心臓カテーテル検査で、mVSD閉鎖傾向にあり手術の必要がないと判断された。【考察】mVSDには外科的に閉鎖が困難な症例がある。今回経験した症例から、PABで左右心室を等圧環境下におけば、mVSD閉鎖を促進する可能性があることが示唆された。また、mVSDを完全に閉鎖できずとも、パッチを置くことで短絡量を減らし、閉鎖を促進する可能性も示唆された。一方、外科的に閉鎖が困難でもAmplatzer閉鎖栓で閉鎖が期待できる症例があり、deviceの認可が待たれる。【結語】巨大なmVSDであっても、PAB後に自然閉鎖してくることがあるため、状態が安定しているようならVSD閉鎖術を待てる可能性がある。