第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-09 集中治療・周術期管理

一般口演-9
集中治療・周術期:合併症

Thu. Jul 16, 2015 11:00 AM - 11:50 AM 第7会場 (1F シリウス A)

座長:
池田 義 (京都大学医学部附属病院)
深江 宏治 (熊本市立熊本市民病院)

I-O-41~I-O-45

[I-O-44] 先天性心疾患心臓手術後の血栓合併症の臨床像

濱本 奈央1, 中野 諭1, 櫨木 大祐1, 大崎 真樹1, 佐藤 慶介2, 芳本 潤2, 金 成海2, 満下 紀恵2, 新居 正基2, 小野 安生2 (1.静岡県立こども病院 循環器集中治療科, 2.静岡県立こども病院 循環器科)

Keywords:術後合併症, 血栓, 先天性心疾患

【始めに】先天性心疾患(CHD)手術後の血栓は、周術期の重大な合併症だが報告は少なく、臨床像は明らかではない。【方法と対象】2009.1.1-2014.12.31の間の当院のCHD術後患者で、退院までに血栓を確認した15名について診療録をもとに検討した。血栓の診断は経胸壁心エコーまたはCTで行った。【結果】対象15例(男7女8)の年齢中央値2.0歳(日齢7-7歳7ヶ月)、体重中央値9.4kg(2.4-22.5kg)。単心室治療群10例(67%)、二心室治療群5例(33%)。先行する手術はTCPC4例、二心室根治4例、Glenn2例、両側PAB 2例、その他3例。うち2例はECMO装着。血栓イベントはTCPC導管内血栓3例、右室流出路導管内血栓3例、Glenn閉塞2例、シャント閉塞1例、PDA内血栓1例、両側PAB後のLPA閉塞1例、その他4例。発見契機はSpO2低下3例、ECMO装着中の定期エコ-検査2例、ショック1例、退院前検査での偶発的な発見9例。手術から診断までの期間は平均11.7日(4-35日)。血栓発見前に7例(46.7%)に術後合併症を認め、心内人工物は14例(93.3%)、術後SpO2 90%未満は4例(26.7%)、経過中Hb15g/dl以上は12例(80%)に認めた。抗凝固療法(ヘパリン4例、チクロピジン4例、メシル酸ナファモスタット2例)は11例(73.3%)で開始しており、うち9例(60.0%)は術後2日以内の開始だった。血栓診断後の初期治療はヘパリン12例、ウロキナーゼ8例、外科的血栓除去6例、ワーファリン1例、チクロピジン1例(重複あり)であった。外科的介入を要した2例が遠隔死亡、有症状だが外科的介入困難であった1例は現在も経過観察中である。無症状かつ血行動態への影響のない8例は内服による抗凝固療法に移行し、遠隔期に血栓の消失・縮小を確認した。【考察・結語】CHD術後患者では抗凝固療法中にも関わらず血栓合併症が発生しており、特に術直後に多い傾向があった。無症候性の多くは内科的治療に反応しており、血行動態的に問題になる前の早期発見・早期対応が重要と思われた。