第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

1-03 胎児心臓病学

一般口演-11
胎児心臓病

2015年7月16日(木) 15:50 〜 16:40 第7会場 (1F シリウス A)

座長:
渋谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター)
松井 彦郎 (長野県立こども病院)

I-O-51~I-O-55

[I-O-55] 胎児卵円孔早期閉鎖および狭小化と出生前診断した18症例における胎児心臓超音波所見と生後臨床経過の検討

本田 茜1,2,3, 川滝 元良2,4, 豊島 勝昭2, 金 基成3, 西澤 崇3, 柳 貞光3, 上田 秀明3 (1.JA尾道総合病院 小児科, 2.神奈川県立こども医療センター 新生児科, 3.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 4.東北大学周産母子センター 産婦人科)

キーワード:Premature closure of the foramen ovale, Premature restriction of the foramen ovale, Fetal echocardiography

【はじめに】
胎児卵円孔早期閉鎖および狭小化(Premature closure or restriction of the foramen ovale: PCFO/PRFO)は集中管理を要すものから無症状まで症状の幅は広く、正確な出生前診断と重症度評価が望まれる。しかし出生前診断法は確立しておらず、重症度評価に関する報告はない。
【目的】
PCFO/PRFOの出生前診断法、重症度評価について検討する
【対象と方法】
2007年~2013年に神奈川県立こども医療センターでPCFO/PRFOと出生診断した18例を対象に、患者背景、生後臨床経過と胎児心臓超音波所見を後方視的に検討した。
【結果】
対象は在胎週数39.3±1.1週、出生体重3093±384g、全例仮死なく出生。出生直後の主症状は下肢優位のチアノーゼ(8/18例)で、11例で出生直後より生後数時間以降に呼吸障害が増強。肺出血1例、呼吸管理2例。生後の前後負荷増大に対する左心系の一過性適応障害が病態と考えられ、生後数時間から増強する肺うっ血とpassive PHによる呼吸障害が特徴的で、重症例では昇圧薬や高濃度酸素は病態を悪化させ、鎮静、利尿剤、血管拡張薬など前後負荷軽減が有効であった。胎児期の所見では、心房間血流速度は診断基準とならず、卵円孔径は重症度との相関はなかった。一次中隔の特徴的所見“hypermobile flap”“hypermobile atrial septal aneurysm”や、左右バランスの指標である三尖弁輪径/僧房弁輪径比(TVD/MVD)が診断と重症度評価に有用で、TVD/MVD>1.6は生後呼吸障害の指標として感度91.7%、特異度83.3%であった。
【考察】
一次中隔の特徴的な所見とTVD/MVDがPCFO/PRFOの診断と重症度評価に有用である。特にTVD/MVD>2では高度PHや肺出血に注意して生後の処置や治療にあたる必要がある。