[I-O-57] 肥大型心筋症患者の予後は予測できるのか?
Keywords:心筋症, 遺伝子変異, 予後
【背景】肥大型心筋症(HCM)の予後規定因子を見出そうとする研究が近年散見されているが、臨床の場で十分に活用できるような結果はいまだ得られていない。また、HCMの疾患原因遺伝子が次々と同定されているものの、臨床像との関連について統一された見解は得られていない。【目的】HCM患者における有用な予後規定因子を見出し、さらに疾患原因遺伝子との関係を検討する。【方法】HCMと診断された140症例の患者について原因遺伝子変異を検索した。TNNT2・TNNI3・TPM1・MYL2変異例については症例数が少ないため除外し、残る125症例(MYH7変異群30症例、MyBPC3変異群23症例、非変異群72症例)について、各々の臨床像を後方視的に調査した。【結果】MyBPC3変異群では心室性不整脈と失神の既往が多い傾向があった。カプランマイヤーの生存曲線では3群間の予後の差は見いだせなかった。しかし、失神の既往歴、および突然死の家族歴の有無は予後と有意に相関していた。【結語】今回の検討ではHCMの原因遺伝子変異がその予後に直接与える影響は見いだせなかった。しかし、失神の既往が予後に有意に関係していること、そしてMyBPC3変異群では失神の既往歴が多いことから、突然死の可能性を念頭に入れた慎重なフォローアップが必要であると考えられた。