[I-P-008] 両大血管左室起始症の診断および予後の検討
Keywords:両大血管左室起始, DOLV, 心内導管修復術
【背景】両大血管左室起始症(以下DOLV)は両大血管の大部分または完全に左室より起始するまれな心奇形である。解剖学的特徴、診断、治療法および予後に関する情報は限定的である。【方法】当院で経験したDOLV症例に関し、上記について診療録から後方視的に検討した。【結果】1980年から2014年までに左室型単心室を除外した7例をDOLVと診断した。全例にVSDを認め、6例はsubpulmonary typeで1例はsubaortic typeであった。他の合併奇形はASD3例(43%)、大動脈縮窄3例(43%)、肺動脈弁狭窄2例(29%)、大動脈弓離断1例(14%)であった。DOLVの術前診断は5例で、2例は術中診断だった。術前診断の3例がエコー診断、2例がカテーテル検査で診断していた。術中診断された2例の術前診断はVSD+ASD+PS+CoAとTOFであった。心内修復術はRastelli型手術が4例(57%)、うち3例が一期的手術、1例は二期的手術を行った。VSD patch closureのみは3例(43%)であった。Rastelli型手術を選択された症例は、PS(2例)、IAA、CoAを合併していた。6例を当院で経過観察しており(術後観察期間平均5.5年)、全例生存している。再介入としてre-RVOTR1例、末梢性PSに対するバルーン拡張術1例であった。【考察】DOLVはまれな疾患であることから、肺動脈の起始を確認する際、右室から肺動脈への経路が正常パターンより描出困難である時にこの疾患を考える必要がある。VSD閉鎖のみならず、Rastelli型手術も選択肢としてあがるため、術前診断は重要と考える。