[I-P-009] 胎児期にcircular shuntを形成し出生後に異なる経過を示したEbstein奇形の3例
Keywords:Ebstein奇形, circular shunt, 肺動脈弁逆流
【背景】Ebstein奇形(EA)は三尖弁逆流(TR)と右室機能の程度により幅広い臨床像を呈する。肺動脈弁逆流を伴いcircular shuntを呈するEAは重症で、確立された管理・治療はない。【症例】症例1:妊娠31週に心疾患を疑われEAと診断。TR流速は2.6m/sで経過中に心胸郭断面積比(CTAR)が66%まで拡大したため、在胎36週5日に帝王切開で出生。出生後は人工呼吸管理下FiO2 1.0、NO 20ppm吸入で治療。PGE1製剤、DOA・DOB使用するも血圧が保てず、日齢1に右房・右室縫縮術および肺動脈結紮術を施行したが日齢5で永眠した。症例2:妊娠35週に右房拡大を指摘されEAと診断。TR流速2.7m/s、CTAR 65.3%で在胎38週4日に帝王切開で出生。人工呼吸管理下FiO2 1.0、NO 10ppm吸入で治療。動脈管の閉鎖に伴い肺動脈の順行性血流を認めるようになり日齢41で退院。現在2歳で利尿剤内服のみで外来通院中である。症例3:在胎27週にEAと診断。TR流速0.7m/s、CTAR 57.5%、在胎38週6日で帝王切開により出生。挿管しFiO2 1.0で管理するも、動脈管狭小化に伴い酸素化が保てなくなったため、二心室修復は困難と判断。PGE1製剤を投与後、日齢7にStarnes術およびBTシャント術を施行。月齢5ヶ月時にGlenn術を施行し、現在TCPC術待機中である。【考察】circular shuntを伴ったEAの病態には高度の右心不全や肺の低形成とそれにともなう肺高血圧など様々な因子が関連する。3症例は異なった経過を示したが、その差異は人工呼吸管理、100%酸素、NO 吸入、肺動脈拡張剤等の治療で順行性肺血流がどの程度保たれたかによると思われる。【結語】circular shuntを伴った重症EAにも早期死亡例、単心室修復例から乳児期の手術回避可能な例まであり分娩時期も含め十分な治療計画が必要である。