第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-08 電気生理学・不整脈

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アブレーション

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:26 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:青木 寿明 (大阪府立母子保健総合医療センター)

I-P-033~I-P-038

[I-P-036] 学校検診で見逃され急性心不全を契機に発見された右心耳起源心房頻拍誘発性心筋症の1例

大西 達也1, 奥 貴幸1, 福留 啓祐1, 宮城 雄一1, 寺田 一也1, 太田 明1, 坂口 平馬2, 宮崎 文2, 津田 悦子2 (1.四国こどもとおとなの医療センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

Keywords:心房頻拍, 頻脈誘発性心筋症, 小児

【緒言】頻脈誘発性心筋症は慢性の頻脈に続発する左心機能不全で、心拍の正常化に伴い左室機能が一部もしくは完全に回復する病態である。誘因は上室性・心室性不整脈や甲状腺機能亢進症などであり、頻度の低い疾患である。
【症例】11歳の男児。小学4年時の学校検診で頻脈を指摘されたが、近医での精査で異常は指摘されなかった。2週間前の感冒を契機に倦怠感が出現し、3日前から胸部不快感と消化器症状を認め、10月21日に近医で急性心筋炎を疑われ救急搬送された。入院時に血圧低下(70/40mmHg)、頻脈(167回/分)と心臓超音波検査で左室収縮能の低下を認めた。12誘導心電図でQRSに先行するP波を認めた。次第に188回/分の頻脈へ移行したが、電気的徐細動は一切無効であった。抗不整脈薬と抗心不全治療により次第に頻脈は落ち着き、心不全症状と心拡大の改善は得られたが、慢性期も脈拍が130回/分以下に下がることなく、かつWenckebach型房室ブロックを伴うようになった。本病態を再検討し、12誘導心電図のV1でP波がQSパターンであること、超音波検査でブロックを伴う時相に見かけ上の左室収縮が改善すること、心拡大が著しく改善したことなどの理由から頻脈誘発性心筋症を強く疑い、電気生理学的検査の目的で他院へ紹介した。転院先で右心耳起源心房頻拍と診断され、アブレーションにより焼灼された。現在も左室収縮障害は残存しているが、回復を期待して外来フォロー中である。
【考察】心耳起源の心房頻拍はincessant formをとることが多く、洞調律よりやや早い心拍数で持続することが多いため、自覚症状に乏しく診断の遅れに繋がる。本症例も学校検診で見逃され、入院時は洞調律と考えたため診断の遅れに繋がった。本症の早期発見のためには、特徴的な心電図所見や臨床経過などを十分に認知しておく必要がある。