第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-13 術後遠隔期・合併症・発達

ポスター
術後遠隔期

2015年7月16日(木) 16:50 〜 17:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:石戸 博隆 (埼玉医科大学総合医療センター)

I-P-084~I-P-088

[I-P-086] 房室中隔欠損症を合併したDowm症候群の治療経過と予後規定因子の解析

飯島 弘之, 柳 貞光, 渡邊 友博, 新津 麻子, 小野 晋, 金 基成, 西澤 崇, 上田 秀明, 康井 制洋 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:房室中隔欠損症, ダウン症候群, 単心室治療

【背景】房室中隔欠損症(AVSD)はDown症候群(DS)において頻度の高い合併心奇形であり、合併症としてPH、大動脈縮窄症(CoA)、心室低形成、Fallot四徴症(TOF)などが挙げられる。単心室治療を選択する場合はPHが問題になり、しばしば予後が不良となる。【目的】当センターにおけるAVSD合併DSの治療経過を検討し、予後不良者の原因と対策を考察する。【方法】2004年から2014年に当センターで外科的治療を行ったAVSD合併DS患者81例について、治療経過を後方視野的に検討した。【結果】81例(男27例、女54例)中、心内修復術(ICR)または単心室術(BCPS,TCPC)を施行した78例の手術時年齢は中央値6ヶ月(0ヶ月-14歳2ヶ月)、Rastelli分類はtype Aが40例(49%)、type Cが33例(41%)、partial AVSDが8例(10%)であった。合併症はCoAが12例(15%)、hypo LVが5例(6.2%)、hypo RVが9例(11%)、TOFが4例(4.9%)。治療方針は一期的ICRが32例(40%)、PAB後のICRが36例(44%)、PAB後のICR待機が2例(2.5%)、One & One halfが3例(3.7%)、BCPSが6例(7.4%)、TCPCが1例(1.2%)、BTSが1例(1.2%)。単心室術を選択した群は全例unbalanced AVSDであり、One & One halfを選択した群は全例hypo RVであった。PABのみで根治術に移行しなかった例は存在しなかった。治療予後はICRまたはOne & One halfを施行した群71例中、死亡1例(1.4%)、NYHA2以上が3例(4.2%)と予後良好であったが、BCPSまたはTCPCを施行した群7例中死亡3例(43%)、NYHA2以上が4例(57%)であった。両群の死亡率にはp<0.002で有意差が認められた。【考察】AVSD合併DSにおいて、単心室術治療群は術後に予後不良となる例が少なくないが、一方でQOLの向上が得られる例も存在する。そのため、治療方針については個々の症例で十分に検討する必要がある。