[I-P-093] 新生児期にArterial switch手術を施行した大血管転位症における術前経腸栄養が術後の発達に与える影響
Keywords:大血管転位, 経腸栄養, 体重増加
【背景】不安定な血行動態や壊死性腸炎の危険性等により先天性心疾患患者の経腸栄養管理方法は確立していない。【目的】術前の絶食が成長に与える影響を調査した。【方法】2011年1月から2014年12月に当院で新生児期arterial switch手術(ASO)を施行した大血管転位(TGA)の25例(男18例、女7例)を術前経腸栄養有群(M+群)と無群(M-群)に分類し術後挿管期間、カテコラミン投与期間、入院期間、術後体重増加を診療録より後方視的に検討した。【結果】25例の平均出生週数 38.5週、平均出生体重 2870 g、Apgar score5分(AS)中央値8、 平均手術日齢 6.8日であった。M+群18例とM―群7例の出生週数、出生体重、手術日齢、手術時体重、ASに有意差はなかった。M+群の平均哺乳期間は4日間、手術前日平均投与カロリーはM+群 51.9 kcal/kg/日(経腸栄養カロリー37.0 kcal/kg/日)、M-群 25.2 kcal/kg/日とM+群で有意に高かった(p<0.01)。術後血行動態良好だった18例では、M+群(13例)、M-群(5例)の両群間に術後挿管期間、カテコラミン投与期間、入院期間には有意差はなかった。両群間の体重は術後1ヶ月(M+群 2960±447g, M-群 2554±265g)、術後6ヶ月(M+群 7957±879g, M-群 7032±1054g)と有意差はないがM+群で高値だった。しかし6ヶ月間の1日あたりの体重増加はM+群:28.3±3.9g, M-群:22.3±4.6gとM+群で有意に高かった (p=0.04)。【結語】術前経腸栄養の有無は新生児期ASO術後成長の予測因子となる可能性がある。