[I-P-149] 省略4誘導心電図による小児期早期再分極所見の検討
キーワード:早期再分極, 省略4誘導, 学校心臓検診
【背景】早期再分極は若年男性に多い心電図所見で、従来病的意義に乏しいと考えられていた。しかし、早期再分極を伴う特発性心室細動の報告が相次ぎ、早期再分極に対する関心が高まっている。本邦において2013年度の学校心臓検診では、小学校で40%、中学校では37%が省略4誘導心電図を用いていたが、省略4誘導での所見検出率は十分に検討されていない。【目的】省略4誘導心電図で、早期再分極を検出の出現率、出現パターンを明らかにする。【方法】2014年度学校心臓検診受診者7540名(小学1年 男1594名/女1506名、小学4年 男1117名/女927名、中学1年 男1242名/1154名)を対象とし、一次検診で施行した省略4誘導心電図(I, aVf, V1, V6)を評価した。早期再分極を、心電図上J点の0.1mV以上の上昇と定義し、陽性者の年齢、性別、各誘導で検出される頻度を検討した。省略4誘導では連続2誘導の評価ができないため、一つの誘導のみで評価した。【結果】早期再分極出現頻度は小1男5.8%/女4.6%、小4男6.8%/女5.8%、中1男12.8%/女7.6%で、男女とも学年が高いほど有意(p<0.005)に多かった。性差は男性有意(p<0.005)に多かったが、小学校1年では有意差はなかった(p>0.05)。早期再分極を認めた誘導は、側壁(IまたはV6)のみが24.6%、下壁(aVf)のみが42.0%、側壁と下壁両方{(IまたはV6)およびaVf}に認めたのが33.3%であった。高学年ほど側壁(IまたはV6)での陽性頻度が高い傾向にあった。【まとめ】省略4誘導での学童期早期再分極所見出現率を明らかにした。12誘導による既報とほぼ同様の分布を示しており、同様の検出率を示す可能性があり、同一患者による一致性の検討が次の課題である。また、学童期早期再分極所見と将来の特発性心室細動発症との関連については、症例の特徴を蓄積し検討していく必要がある。