[I-P-156] MAPCAのUnifocalizationにおける中心肺動脈直接造影法の有効性
Keywords:MAPCA, Unifocalization, 単心室
【背景・目的】主要体肺側副動脈(MAPCA)を持つ単心室患者はまれだが、Fontan手術到達可能であった症例も報告されている。段階的治療の最初のstgaeとなるUnifocalization(UF)は、外科治療上の鍵となるが、その際には中心肺動脈(cPA)とMAPCAの正確な評価と診断が必須である。【方法】従来の血管造影検査では十分評価ができなかったcPAとMAPCAを持つ単心室患者のうち、手術中にcPAに直接挿入したカニューレから造影を行い、UFの方法を決定した2例の臨床経過を画像と共に提示する。【結果】症例1:診断Right Atrial Isomerism, TAPVC1b, 肺動脈閉鎖, MAPCA(3本), 両側SVC。PA Index=49mm2/m2。年齢15日、体重3.3kg。cPA造影で3本全てのMAPCAとcPAの交通を確認。全てのMAPCAを起始部で結紮し、UFを完成。BTshunt(4.0mm)設置・TAPVC1b修復を併施し手術終了。8M時にcPAのpatch augmentationを行い、1Y2M時にbilateral BDGを、2Y3M時にFontan手術(開窓あり)到達。1年後のカテーテル検査では、Fontan圧:11mmHg, SaO2:93%, C.I.=2.2L/min/m2と良好なFontan循環が維持されていた。症例2:診断PAIVS, 類同交通(+)。MAPCA:3本。PA Index=40mm2/m2。年齢8M、体重6.7kg。cPA造影では、1本のMAPCAはcPAとの交通を確認できたが、残りの2本のMAPCAは十分な造影効果が得られなかった。この2本のMAPCAは根元で結紮・切断した上で、native PAと吻合し、UFを完成。BTshunt(5.0mm)を設置し、ここから再度造影検査。肺区域が不足なくカバーされていることを確認し手術終了。現在次期手術を待機中。【結語】従来の血管造影法ではcPAについては、その有無や太さといった情報が得られるだけであった。しかしcPAの直接造影は、cPA自体の能力(肺内におけるMAPCAとの接続・血流方向など)をより詳しく評価することを可能とし、UFのデザインを決定する上でも有用な情報となる。