[I-P-160] 狭小肺動脈PAI≒100でFontan手術を行った3例
Keywords:PAI, Fontan, 遠隔期
【はじめに】Fontan循環の成立には十分な肺動脈の血管床が必要であり、その指標としてpulmonary artery index(PAI mm2/m2)が広く用いられてきた。その成立限界値については数々の報告があるが、小さいPAIが遠隔期に及ぼす影響についての報告は少ない。当院で経験したFontan(F)手術時PAI≒100と狭小であった3例を報告する。【症例1】HLHS(AA・MA)の女児。日齢6にbil.PAB。2か月時にBAS。5か月時にNorwood+BDG+mod.BTS。2歳時にPAP11、Rp0.5、PAI 102でExtracardiac (Exc)TCPC with fenestration。F術後1年時にPAP13、PAI 162。8歳現在F術後6年、NYHA I~II、管理指導区分E禁、心機能良好、軽度Tr。腹部超音波にて軽度Fontan肝を指摘されている。【症例2】PA・IVSの女児。日齢20にBAS、この時PAI 85。日齢21に左mod.BTS、1歳時に右mod.BTS。1歳6か月時にBDG+ASD creation。左肺動脈狭窄部に対するバルーン拡張術後、3歳時にPAP9、Rp1.8、PAI 100でExc TCPC。9歳現在F術後約6年、PAP10、PAI 111。NYHAII、管理指導区分E禁、心機能良好、中等度AR。【症例3】HLHS(AS・MS)の男児。日齢6にBAS不成功、日齢9にNorwood(RV-PA)。neo-Ao吻合部狭窄に対するバルーン拡張術後、11か月時にbil.BDG+TAP(DeVega)。2歳時にPAP10、Rp2.65、PAI 90でExc TCPC with fenestration+TAP(DeVega)。F術後1年7か月時にPAP8、PAI 104。7歳現在F術後約5年、NYHAI、管理指導区分E禁、心機能良好、軽度Tr。【まとめ】いずれの症例も、肺動脈のバルーン形成術や、F手術時の房室弁形成、fenestrationの併用、NO吸入療法などの、当院で行われている通常の治療でF循環が成立し、術後5~6年の中期遠隔期の経過は良好であった。狭小肺動脈が長期遠隔期に及ぼす影響について、今後も注意深い経過観察が必要である。