[I-P-167] 動脈管依存性体循環型複雑心奇形に対する一期的修復術と両側肺動脈絞扼後の二期的修復術の比較検討
Keywords:高肺血流, 動脈管依存, 両側肺動脈絞扼術
【はじめに】体循環を動脈管に依存した心疾患は新生児期に手術介入を必要とするが、一期的修復が可能な形態であっても手術のリスクを考慮し、両側肺動脈絞扼術を選択される場合もある。今回当院における両側肺動脈絞扼術(B-PAB)の成績を一期的修復術群と比較検討した。【対象と方法】当院で2000年から2014年に形態的に一期的修復術が可能な心室中隔欠損(VSD)のある動脈管依存性体循環の心奇形で、新生児期に手術介入が必要と判断された28例を対象とした。28例中新生児期に一期的に修復術を行った24例(P群)とB-PABを行った4例(S群)で後方視的に成績を検討した。VSDに付随した心奇形は大動脈縮窄症(CoA) 9例、CoA+大動脈弁下狭窄(SAS) 3例、大動脈弓離断症(IAA) 4例、IAA+SAS 7例、両大血管右室起始症(DORV)+CoA 1例、DORV+CoA+SAS 2例、総動脈幹遺残症(PTA)+IAA 2例。B-PABを選択した理由は全例で低体重(2000g以下)であった。P群、S群の手術時日齢、手術時体重はそれぞれ11±5 vs 9±5日、2.8±0. 4 vs 1.5±0.3 kg、追跡期間は4.5±3.8 vs 2.2±1.4年であった。【結果】P群、S群ともに手術死亡はなく、S群は4例が4.9±1.0ヶ月時、体重3.7±1.1 kgで根治術に到達した。S群で1例がB-PAB後にLow flowから左室低形成となったため3.4ヶ月時に右肺動脈絞扼解除術を行い、その後根治術に至った。P群では1例が術後8か月目に染色体異常児が自宅で呼吸に関連し突然死した。初回手術後3年でP群、S群の生存率は95.0 vs 100 %であった。根治術後の再手術は、P群で3例(内2例はconduit交換で術後4年2か月、5年時)、S群ではB-PABに関連して肺動脈分岐狭窄を来たし根治術後3か月で肺動脈形成術を施行した。【考察と結語】両側肺動脈絞扼術後二期的修復は、左室低形成や術後肺動脈分枝狭窄遺残などの問題はあるが、短期・中期の成績が得られ、低体重、術前状態不良等のHigh Risk症例には良い選択枝と考えられた。