第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-03 外科治療遠隔成績

ポスター
HLHS、Co/A (bil. PAB)

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:50 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:竹内 敬昌 (岐阜県総合医療センター)

I-P-166~I-P-170

[I-P-168] 当院におけるHybrid strategyの経験

藤田 智, 中野 俊秀, 檜山 和弘, 小田 晋一郎, 五十嵐 仁, 渡邉 マヤ, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:外科治療, Hybrid, PDAステント

【目的】両側肺動脈絞扼術(bPAB)は左心低形成症候群や大動脈縮窄/離断を伴う複雑心奇形に施行される有用な姑息術である.当施設ではハイリスク症例に対して,2010年より動脈管ステント留置をbPABと同時に行うHybrid strategyを導入してきた.今回その成績を検討した.【対象】2010年以降にHybrid strategyを選択した4症例を対象とした.疾患は左心低形成症候群2例,大動脈離断を合併した総動脈幹症2例であった.初回手術時年齢および体重の中央値は,日齢21(2-41)及び2.1kg(1.8-2.9)であった.術前危険因子は,低体重(2例),ショック状態(2例),早期介入を要する消化管疾患の合併(2例)であった(重複あり).【方法】先ず胸骨正中切開にてbPABを施行した.動脈管ステントサイズの決定は,術中の心表面エコーもしくは実測による計測に基づき動脈管径 ± 1mmを目安し,ステントを主肺動脈から挿入した.動脈管ステント留置の補助手段として術中透視(3例),心表面エコー(1例)を利用した.観察期間は11ヶ月(1-50)であった. 【結果】手術死亡,遠隔期死亡は無かった.術後CoAの進行やステント再拡張を要した症例は無かった.留置直後の動脈管ステント内の流速は1.0 ± 0.2m/sであった.第二期手術直前もしくは最新の経胸壁エコーでの動脈管ステント内の流速は2.6 ± 1.2m/sであった(観察期間7ヶ月(1-13),体重4.85kg(2.0-7.2)).左心低形成症候群の2例は第二期手術待機中であり,大動脈離断複合を合併した総動脈幹症の2例はいずれも心内修復術を施行し良好に経過している.第二期手術に到達した2症例はいずれも動脈管をステントとともに切除し大動脈弓形成を行った.【考察および結語】ハイリスク症例に対するHybrid strategyは有用な治療戦略であると考えられるが,今後はその適応とより安全で確実な手術手技の確立が必要である.