[I-P-169] 左心低形成症候群における左右肺動脈分岐形態の検討 -大動脈再建における主肺動脈Longitudinal Extension and Horizontal Plication法の妥当性について-
Keywords:左心低形成症候群, 肺動脈分岐形態, Longitudinal Extension and Horizontal Plication
【背景】左心低形成症候群(HLHS)において良好なFontan循環を得るためには、Norwood(N)術後の肺動脈(PA)狭窄回避が重要である。現在までに術前大動脈弓部形態(arch height)が左PA圧排の予測因子であること、N術後の広い大動脈弓小弯側空間(aortopulmonary space:APS)確保が左PA圧排回避の要因となることを報告してきた。われわれはAPSを広く確保するために、左右PA分岐部をU字状に主PA後壁より切離し、欠損部を縦方向に縫合して主PA有効長を延長する術式(Longitudinal Extension and Horizontal Plication:LE-HP法)を採用しているが、本術式では肺動脈分岐形態が重要な因子となる。今回、本症の肺動脈分枝形態を後方視的に検討し、本術式の妥当性を考察した。
【方法】2004年1月から2014年12月にN術を施行したHLHS 16例の術前CT検査を用いて、下記2項目を測定した。
(1)主PAから左右PAが分岐する角度(左右PA分岐断面の中央点を結ぶ線と主PA主軸線のなす角度):PA分岐角(PA angle)を測定。左右PAが縦並び(垂直)に分岐した場合は0度、水平に分岐した場合は90度となる。
(2)左右PA開口部最下端から最上端までの距離:主PA有効延長距離(EL)を測定。ELを体表面積の平方根で除した補正ELを算出。
【結果】全例で右PAが低位、左PAが高位より分枝し、PA angleは14.8-70.5度(41.5±15.2度)で、縦並びの分枝形態を示した。実計測ELは4.2-14.3mm(平均9.8±2.9mm)で、補正ELは21.3±6.5 mm/√m2であった。
【考察】HLHSでは主PAからの左右PA分枝は全例で縦並びの特徴的な形態を示した。PA分岐部をU字状切離するLE-HP法ではこの形態的特徴を生かすことができ、より有効な主PA延長が得られ、広いAPSが確保できる。また主PAを補填物なしで緊張がかかることなく大動脈弓に吻合可能である。
【結語】HLHSにおける左右PA分岐形態は特徴的で、LE-HP法はNorwood手術における補填物非使用の新大動脈再建に有用な方法である。
【方法】2004年1月から2014年12月にN術を施行したHLHS 16例の術前CT検査を用いて、下記2項目を測定した。
(1)主PAから左右PAが分岐する角度(左右PA分岐断面の中央点を結ぶ線と主PA主軸線のなす角度):PA分岐角(PA angle)を測定。左右PAが縦並び(垂直)に分岐した場合は0度、水平に分岐した場合は90度となる。
(2)左右PA開口部最下端から最上端までの距離:主PA有効延長距離(EL)を測定。ELを体表面積の平方根で除した補正ELを算出。
【結果】全例で右PAが低位、左PAが高位より分枝し、PA angleは14.8-70.5度(41.5±15.2度)で、縦並びの分枝形態を示した。実計測ELは4.2-14.3mm(平均9.8±2.9mm)で、補正ELは21.3±6.5 mm/√m2であった。
【考察】HLHSでは主PAからの左右PA分枝は全例で縦並びの特徴的な形態を示した。PA分岐部をU字状切離するLE-HP法ではこの形態的特徴を生かすことができ、より有効な主PA延長が得られ、広いAPSが確保できる。また主PAを補填物なしで緊張がかかることなく大動脈弓に吻合可能である。
【結語】HLHSにおける左右PA分岐形態は特徴的で、LE-HP法はNorwood手術における補填物非使用の新大動脈再建に有用な方法である。