第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム3
未熟児動脈管開存症の治療

Thu. Jul 16, 2015 2:40 PM - 4:10 PM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
与田 仁志 (東邦大学医療センター大森病院)
金子 幸裕 (国立成育医療研究センター病院)

I-S03-01~I-S03-05

[I-S03-02] 外科的治療に踏み切る判断とその決定権

横山 岳彦1, 岩佐 充二1, 酒井 善正2 (1.名古屋第二赤十字病院 小児科, 2.名古屋第二赤十字病院 心臓血管外科)

Keywords:動脈管開存症, 動脈管結紮術, 未熟児

【始めに】未熟児動脈管はインダシンによる内科治療が第一選択とされている。しかし、内科治療が効奏せず、外科治療に踏み切らなくてはならない場合もある。このとき、外科治療にふみきる判断基準は施設間の差異がある。そこで、当院において外科治療をおこなった症例を後方視的に検討し、外科治療に踏み切る場合の判断について考察した。【対象】2005年1月から2014年12月までの10年間において当院NICUに入院した極低出生体重児452例のうち動脈管結紮術を施行した34例。【結果】手術例の平均出生体重は779g (320~1348g)、平均在胎週数は25週6日(36週1日~22週2日)、手術時日齢は平均26日(2~65日)、平均手術時体重は862g(338~1421g)であった。手術に踏み切った理由は、ミルクの増量や水分負荷ができないとためとされたのが8例、呼吸器条件が下げられないのが3例、循環不全が14例、腎障害が8例、体重増加不良が1例であった。手術時の平均クレアチニン値は1.3mg/dl(2.9~0.2mg/dl)であり、平均心胸郭比は56%(74~39%)であった。手術例の短期予後は、死亡2例(500g, 390g、二例とも術後20日以上経過)、生存32例。生存例中、明らかな神経学的後遺症を5例、神経学的後遺症が疑わしいのを10例にみとめた。【考察】外科治療の予後は32/34(94%)と充分に許容できるレベルであった。これらの事を考慮し、児の病態を考慮しながら、必要時には外科治療に踏みきってもよいと思われた。【結語】手術の決定権は新生児科医にゆだねられており、心臓超音波検査ばかりでなく、臨床症状に基づいて選択されていると思われた。本年、手術治療についての循環動態指標を考えるためにPLASE研究がスタートする。この研究により、未熟児動脈管開存症の評価法の標準化がされることが期待される。