第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム3
未熟児動脈管開存症の治療

Thu. Jul 16, 2015 2:40 PM - 4:10 PM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
与田 仁志 (東邦大学医療センター大森病院)
金子 幸裕 (国立成育医療研究センター病院)

I-S03-01~I-S03-05

[I-S03-03] 未熟児動脈管開存症の内科的治療の問題点

林 知宏, 横田 恵理子, 鷲尾 真美, 松尾 康司, 荻野 佳代, 渡部晋一, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

Keywords:動脈管開存症, 未熟児, 内科的治療

【背景】未熟児動脈管開存症(p-PDA)におけるインドメタシン(INDO)投与は、効果が確実ではなく、再開通も問題となる。【目的】INDO抵抗性のp-PDAについて検討し、内科的治療の問題点について検討する。【対象・方法】2007年9月~2014年9月までの7年間に当院NICUで管理を行った超低出生体重児264例。INDO抵抗例は再開通、あるいはINDO投与で日齢7までに閉鎖しなかった57例(21.5%)とした。NEC既往の1例を除く全例でINDO投与した。INDO投与にも関わらず1.体血流低下、2.肺出血、3.CLDでsteroidを要する、あるいはLPA血流面積拡張期/収縮期0.4以上の場合は手術適応とした。内科的管理群(ID群、24例)、手術群(SL群、33例)に分けてINDO投与状況、挿管期間、HOT導入率、合併症、退院時転帰などの比較検討を行った。【結果】(ID群、SL群)でINDO投与回数(1~14(中央値6)、3~24(中央値8))、INDO総投与量(mg/kg)(0.2~2.4(中央値1.2)、0.4~4.8(中央値1.2))、挿管期間(日)(46.3±23.6、64.4±24.8)p=0.06、HOT導入(4例(16%)、11例(33%))、PVL・NEC・消化管穿孔(0例、9例)、死亡例(0例、3例)。再開通後にINDO投与3回以内で閉鎖が得られたのはID群の6例(15%)。ID群の16例(67%)、SL群の28例(85%)でPDAの縮小・拡大を繰り返し、INDO投与が4回以上であった。【考察】INDO抵抗性のp-PDAではINDOによるPDA閉鎖率は低い一方で、縮小・拡大を繰り返す例が多く、投与回数が多い傾向にあった。上記の手術適応基準を満たさない場合は、副作用に留意しながらINDO投与でPDAと共存しながら経過観察が可能と考える。一方でSL群ではID群よりもHOT導入率や合併症率が高く、再開通後のINDO投与で一旦PDA縮小が得られても、再拡大した場合は早期の手術が望ましいかもしれない。至適タイミングについては更なる検討が必要である。