[I-S03-04] 低出生体重児に対する動脈管結紮術の方法と問題点
Keywords:超低出生体重児, 動脈管化依存症, 外科手術
近年、低体重出生児の出生頻度は増加しつつあり、動脈管開存症の合併が効率に見られるためその治療法は重要である。動脈管開存にはインダシン投与などの保存的治療法が存在するがその効果は不確実であり、閉鎖・再開通を繰り返す症例も多い。体格が小さいため現状ではカテーテルインターベンションによる動脈管閉鎖は不可能である。動脈管の外科的手技による閉鎖は効果が確実であるが、予備力の低い低体重児には侵襲が大きいと考えられており、手術適応決定を逡巡するうちに循環不全に陥る症例もしばしば経験される。低侵襲外科手術というと胸腔鏡下手術が想起されるところだが、低出生体重児においては分離肺換気が困難で、胸腔内のスペースも小さいため手術器具の大きさを考えると現実的でない。我々は特に予備力の低いと思われる体重1kg未満の超低出生体重児に合併した動脈管開存症に対する直視下動脈管閉鎖手技の改良、低侵襲化に取り組んでいる。その手術手技に際しては年長児や正常体重新生児に対する手技とは相当の差異がある。我々は動脈管に最短距離でアプローチできる肩甲骨後方にクリップアプライヤーが通過できる最少の皮膚切開を置き、肺の圧排も最小限にして直視下に動脈管を剥離、クリッピングしている。この方法によって肋間筋以外の骨格筋をほとんど切断せず、術中の呼吸循環の変動も少なく短い麻酔時間で手術を遂行できるようになったと考えている。今回当施設での手術の実例を提示し、手術成績を供覧に付するとともに、さらなる低侵襲化のために解決すべき問題点について考察したい。