[I-S03-05] (Up Date講演) グリベンクラミドによるラット未熟仔動脈管の閉鎖
Keywords:動脈管, 未熟児動脈管開存症, グリベンクラミド
[背景]インドメサシンで未熟児動脈管(PDA)が閉じない場合の次の薬として、グリベンクラミドが有望である。グリベンクラミドは糖尿病薬で、K(ATP) チャネルを閉鎖し、in-vitro 実験で兎胎仔動脈管片を収縮する。その臨床常用量は新生児糖尿病の乳児で1mg/kgである。ラットの妊娠期間は21.5日で、19日目の胎仔は体重が21日目の胎仔の半分で、非常に未熟である。[目的]未熟児PDA の薬物治療のモデルとして、成熟及び未熟ラット胎仔、新生仔の動脈管をグリベンクラミドで収縮、閉鎖する実験を行った。[方法]妊娠Wistar ラット、19日目(未熟仔)と21日目(成熟仔)を用い,親の麻酔開腹下の子宮内の胎仔にグリベンクラミド0.1、1、10、100 mg/kg (0.05ml DMSO 溶解)を腹腔内に注射して閉腹後麻酔解除し、1、2、4、8時間後に全身急速凍結し、凍結ミクロトーム、実態顕微鏡を用いて動脈管内径を計測した。インドメサシンとグリベンクラミド併用の動脈管収縮を21日胎仔で調べた。[結果]グリベンクラミドは未熟仔、成熟仔で投与量依存性にほぼ同じ程度の動脈管収縮を生じた。収縮は投与後1、2、4時間で強く、8時間後には軽快した。注射後1時間の収縮は1mg/kg で軽度、10mg/kg で中度、100mg/kg で高度(ほとんど閉鎖)であった。グリベンクラミド1mg/kgをインドメサシンに併用すると、インドメサシン (0.1 mg/kg)の軽度の収縮が中度になり、インドメサシン(1, 10 mg/kg)で中度の収縮が高度になった。[結論]実験的にインドメサシンの動脈管収縮が成熟仔で強く未熟仔で弱いのと異なり、グリベンクラミドは成熟仔と成熟仔で投与量依存性に同じ程度の収縮を生じた。臨床量1mg/kg単独では胎仔動脈管収縮は軽度であるが、インドメサシンと併用すると中度ないし高度の収縮を生じた。臨床的にもインドメサシンを用いて効果不十分の場合にグリベンクラミドを追加使用すべきであろう。