第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

1-05 画像診断

要望演題1
画像診断

2015年7月16日(木) 10:00 〜 10:50 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
高橋 健 (順天堂大学)
近藤 千里 (東京女子医科大学)

I-YB1-01~I-YB1-05

[I-YB01-04] 光干渉断層像(Optica1 Coherence Tomography:OCT)を用いたWilliams症候群における肺動脈病変の観察

小野 朱美1,2, 早渕 康信1, 阪田 美穂1, 香美 祥二1, 井上 美紀2, 森 一博2 (1.徳島大学大学院 小児医学分野, 2.徳島県立中央病院 小児科)

キーワード:光干渉断層像, Williams症候群, 肺動脈病変

【背景】光干渉断層像(OCT)は近赤外線を利用して断層画像を得る新しい血管内画像診断である。血管内超音波像(IVUS)に比し約10倍(10~20μm)の高解像度を有し、従来の診断装置では描出し得なかった血管壁の微細構造観察が可能である。Williams症候群ではエラスチン(ELN)を含む7q11.23領域の部分欠失を伴う。ELNの欠失は血管弾性低下だけでなく動脈壁内中膜平滑筋細胞の増殖を伴い肥厚に伴う内腔狭窄を惹起させる。我々はWilliams症候群2症例においてOCTを用いて肺動脈病変を観察した。【方法】Williams症候群2例(3歳女児および9歳男児)で心臓カテーテル検査時にOCTを用いて肺動脈を観察した。肺循環に異常を認めない20症例を対象として比較検討した。【結果】血管径2.0~4.0mmの末梢肺動脈を観察した。肺動脈壁は1層として観察された。Williams症候群2例では肺動脈壁厚は、0.29, 0.33mm (control, 0.14±0.03)、肺動脈壁厚/血管径比は0.109および0.121(control, 0.056±0.009)であり、顕著な壁肥厚が観察された。さらに血管外膜周囲組織の肥厚とVasa vasorumの過剰な増殖が認められた。近年、血管外膜やVasa vasorumは肺動脈のリモデリングに関与していると報告されており、OCTから得られた所見はELN欠失に伴う組織学的変化と肺動脈の病理学的所見を反映しているものと考えられた。【結語】OCTによる肺血管壁の検討は、Williams症候群をはじめとする肺血管病変を有する疾患の病理学的所見を反映している可能性が示唆され、病状の進行や加療効果判定などの臨床的有用性が示された。