[I-YB01-05] 繊維化心筋を有する小児単心室症の心臓MRIによる機能解析と心筋幹細胞移植療法による繊維化抑制の可能性
Keywords:Late gadolinium enhancement, 機能的単心室症, 心筋幹細胞移植療法
【背景】虚血性心疾患や心筋症で見られる線維化心筋は予後不良因子であり、近年心筋幹細胞移植療法によるその縮小効果が報告されている。一方、先天性心疾患ではFontan術後やFallot四徴症術後遠隔期に心筋線維化変化が認められているが、幼児期での特徴や幹細胞移植効果は明らかにされていない。【目的】幼児期の単心室症患者の線維化心筋の特徴の解明ならびに岡山大学病院で行っている心筋幹細胞移植療法の線維化心筋に対する治療効果を明らかにする。【方法】対象は単心室患者でMRI遅延造影(late gadolinium enhancement)で線維化所見を認めた患者8名(LGE+)と線維化のない患者30名(LGE-)で、心臓MRIでのstrain値や標準偏差法による線維化領域定量化とカテーテル検査から算出したEes、stiffnessについて比較検討した。【結果】両群間で年齢差は認めなかった(P=0.07)。MRI解析ではLGE+ではLGE-と比較し、駆出率の低下(EF; P=0.01)のみならず、収縮末期容量拡大 (ESVI; P=0.03)及び円周方向のstrain値の低下を認めた(base; P=0.02, mid; P=0.02, apex; P=0.0005)。さらにLGE+群において収縮能の指標とされるEesの低下(P=0.02)と心室stiffnessの高値を認めた(P=0.03)。検出された線維化領域は8.9±15.5%であり、従来の手術加療のみでは、3か月経過での領域に変化は見られなかった(P=0.12)。一方、手術後に自己心臓内幹細胞移植療法を追加した症例は移植3か月目のMRIで、瘢痕組織の縮小効果(P=0.01)と同部位におけるstrain(P=0.0001)とstrain rateの有意な改善を認めた(P=0.04)。【結語】幼児期単心室症において線維化を有する症例があり、LGE+はLGE-と比較し駆出率低下と容量拡大だけでなく、心室弾性能の低下とstiffnessの増加を認めた。従来の手術加療のみでは線維化縮小効果は観察されなかったが、心筋幹細胞移植療法併用により線維化縮小作用と内膜側壁厚の増加率が有意に改善した。