[I-YB03-03] 上室性頻拍を合併した成人心房中隔欠損症に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術後の長期経過
Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖術, 上室性頻拍, カテーテルアブレーション
【背景】成人の心房中隔欠損症(ASD)では心房細動(AF)を含む上室性頻拍(SVT)を合併することが多いが、Amplatzer Septal Occluder(ASO)による経皮的ASD閉鎖術後の経過はよく知られていない。ASO後は高周波カテーテルアブレーション(RFCA)が困難となるため、当院では発作性心房細動(PAF)や若年者の慢性心房細動(CAF)に対してASO前にRFCAを行なう方針としている。【目的】SVTを合併した成人ASDに対するASO後の長期経過について検討すること。【対象と方法】2006年12月から2014年12月までに当院でASOを実施したSVT合併の成人ASD20例について後方視的に検討。【結果】年齢は33~77歳(中央値58歳)。術前の不整脈はPAFが8例、CAFが12例だった。ASO前にRFCAを施行したPAFおよび若年CAFが7例、RFCA適応外と判断されたCAFが10例、RFCAの適応はあるが治療希望がなかったか自己申告がなかったためRFCAを施行しなかったPAFが3例だった。RFCAを施行した7例のうち3例に2度の、1例に3度のRFCAを行い、全例で洞調律に復しAFの再発は認めなかった。3度のRFCAを行ったCAFの1例は活動量の増加に伴い心房粗動(AFL)となり電気的除細動や抗不整脈薬による治療を継続している。RFCA適応外とされた10例では、全例でASO後もCAFが持続した。RFCAの適応だが施行しなかったPAF3例では、全例でASO直後にPAF増悪を認め、抗不整脈薬が開始された。このうち1例は2年後に洞調律に復しPAFは改善した。他の2例ではPAF改善を認めず投薬を継続している。【考察】RFCA未施行のPAF症例では、ASO直後にAF増悪を認めるが、遠隔期には改善する症例と改善しない症例を認めた。ASOによる容量負荷軽減に伴いSVTが改善する症例もあるが、術前にその予測をするのは困難だった。【結語】RFCA未施行例におけるASO後のSVT長期経過には個人差を認める。RFCAを先行しSVT再発がないことを確認してからASOを行うという治療方針が望ましい。