[I-YB03-05] 心臓カテーテル検査・治療のヘパリン使用における定期的な活性凝固時間測定の有用性—第2報—
Keywords:活性凝固時間測定, ヘパリン投与量, 心臓カテーテル検査
【背景】昨年当学会で「低体重例・ハイリスク例では定期的な活性凝固時間(ACT)測定によるモニタリングが有用である」と発表した。この時ヘパリン投与量が討論され、当科の倍量で使用している施設が相当数あった。【目的】ヘパリン投与量を従来の倍量として同様の評価を行い、前回の結果と比較検討した。【方法】以前は「初回投与量を50U/kg、60分毎に追加投与を25U/kg(以下A法)」としていたが、「初回投与量を100U/kg、60分毎に追加投与量を50U/kg(以下B法)」に変更し、投与後5、30、60分のACT値を測定した。目標到達ACT値が右心カテ160秒、左心カテおよび治療は200秒以上を満たし、維持できていたかを後方視的に検討した。【結果】症例は、A法が体重2.6~30.7kg(中央値7.8kg、1例を除き12.0kg以下)、施術時間1.5~5.0hr(中央値2.6hr)の47例と、B法が体重7.0~13.0kg(中央値8.7kg)、施術時間1.5~4.0hr(中央値2.5hr)の11例であった。A法でのACT値は、投与5分後:205±43秒、30分後:190±42秒、60分後:189±33秒であり、B法でのACT値は、投与5分後:262±15秒、30分後:220±24秒、60分後:207±26秒であった。目標到達ACT値に達していない早期追加例は、A法で2例(36.2%)、B法で1例(9.1%)であった。逆にACT値が亢進しすぎた追加中止例は、A法で2例(4.3%)、B法で2例(18.2%)であった。【考察】A法と比較して、B法のACT値は、ばらつきが少なく目標到達値に達することが多いが、逆に追加投与を中止した例は増えた。【結論】B法がより安全な抗凝固効果を有していると考える。ただし追加不要例は増加することから、A法とB法の中間に至適なヘパリン量がある可能性が示唆された。