[I-YB06-02] 動脈管結紮手術のタイミングについての検討
Keywords:未熟児動脈管開存, インドメタシン, 動脈管結紮術
【背景】未熟児動脈管開存に対して、頭蓋内出血や腸管壊死などの合併症がなければインドメタシン投与が第一選択となるが、無効例に対しては動脈管結紮術の適応となる。しかし、推奨されるインドメタシン投与回数や期間、手術至適時期については未だ不明確である。【目的】当院で経験した未熟児動脈管開存症例から手術至適時期を後方視的に検討する。【対象・方法】2008年1月から2014年12月の間に当院へ入院した在胎32週0日以下の動脈管開存症例中、出生直後に他院へ転院となるか動脈管開存によらない死亡症例を除いた177症例を対象とし、インドメタシン投与症例、動脈管結紮術症例に分けて評価した。【結果】177症例中、動脈管自然閉鎖群(A群)は61例、インドメタシン投与で閉鎖した群(B群)は45例、動脈管結紮術を要した群(C群)は71例であった。在胎週数、出生時体重はA群で29週4日±15.8日、1157.8±405.6g、B群で28週4日±13.4日、1052.3±349.1g、C群で26週3日±14.8日、875.1±299.3gであり、C群はA、B群に比べ有意に未熟性が高かった。各群で退院時に在宅酸素療法を必要とした症例が、A群で1例 (1.64%)、B群で1例 (2.22%)、C群で9例 (23.1%)だった。C群のみで評価を行った場合、動脈管結紮術時期はHOT導入群で 日齢19.6±12.9日、HOT非導入群で日齢 11.7±7.0日(p=0.030)であった。【結論】動脈管結紮術群は非手術群に比べて未熟性が高く、HOT導入率が高かった。また、動脈管結紮術群のうち、HOT導入群では手術時期が有意に遅かった。以上から在胎週数が短い症例では、インドメタシン治療に対する反応性を早期に判断し、動脈管結紮術を積極的に考慮する必要があると考えられた。