[I-YB06-03] 当院における未熟児動脈管開存症に対する治療経験
Keywords:PDA, 未熟児, NEC
【背景】未熟児動脈管開存症(PDA)は左心系への容量負荷から心不全を引き起こし,頭蓋内血腫(IVH)や壊死性腸炎(NEC)等の合併から急激な全身状態の増悪を引き起こす可能性がある。当院で経験した未熟児PDAを後方視的に検討した。【対象と方法】1994年10月~2014年12月に当院で治療を行った在胎28週もしくは出生時体重1kg未満の未熟児PDA 426例を対象とした。治療選択により,A:薬物治療(インダシン投与)294例,B:薬物治療+外科的閉鎖117例,C:外科的治療15例の3群間で比較検討を行った。又,死亡症例に対するリスク検討を行った。【結果】患者背景:出生時体重705g(中央値,238-1534g),在胎週数25週3日(中央値,22週0日-33週6日)。出生時体重,在胎週数,Apgarスコアは3群間で差を認めなかった。治療成績:NICU滞在日数は3群間で差を認めなかった。死亡数は全体で37例(8.7%),A:27例(9.2%),B:8例(6.9%),C:2例(13.3%)であり,3群間で有意差を認めなかった。入院中の重篤な合併症として,IVH,NECはそれぞれIVH A:0例,B:32例(27.3%),C:3例(20%)。NEC A:0例,B:15例(12.8%),C:4例(26.6%)であり,IVH,NEC共に,B.C群で,A群と比較し有意に高率であった(P=0.001>)。死亡症例において,リスク因子はNEC(ハザード比25.7:95%信頼区間4.8-136.6),出生時体重600g未満(ハザード比7.1:95%信頼区間3.1-16)であった。【結論】当院において未熟児PDAにおいてNEC及び出生時の低体重が死亡リスク因子であった。外科的閉鎖は重篤な症例群に対する治療手段として妥当と思われた。