[II-O-19] カテコラミン誘発多形性心室頻拍に対するフレカイニド療法における運動時心電図所見と血中濃度の関係
キーワード:カテコラミン誘発多形性心室頻拍, フレカイニド, 血中濃度
【背景】カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)は致死性不整脈であり、リアノジン受容体2型(RyR2)異常が原因の一つとされている。その治療として、βブロッカーやフレカイニドが用いられている。【目的】CPVTに対するフレカイニド内服治療において、血中濃度モニタリングの有用性を検討すること。【症例】症例は運動時の失神精査でCPVTと診断された8歳男児。遺伝子解析でRyR2のエクソン90と93に変異(A4247V, F4511L)を認めた。運動制限とカルベジロール(0.1mg/kg)による治療を開始したが、安静時の心室性期外収縮(PVC)は減少したものの運動負荷では改善は認めなかった。そのため、フレカイニドを75mg/m2/日で併用開始した。130mg/m2/日で投与した時の血中濃度はピーク値245ng/mLで、トラフ値81ng/mLと低値であった。ピーク時の運動負荷心電図ではPVCは改善したが、トラフ時の運動負荷心電図ではPVCを認めた。フレカイニドをさらに185mg/m2/日まで増量し、PVCの改善が得られた。この時の血中濃度はピーク値438ng/mLで、トラフ値164ng/mLであった。経過中に心機能の悪化は認めなかった。【結論】フレカイニドの大量投与が有用であったCPVTの1例を経験した。運動時心電図所見とフレカイニド血中濃度が密接に関係しており、血中濃度モニタリングの有用性が示唆された。